ネイティブの感覚

今職場にカナダの大学図書館の人が研修に来ています。名前から日系だと思われる彼女ですが、日本語でのコミュニケーションに支障はないけれども、ネイティブではない単語選択をするので面白いのです。逆に日本語の勉強をしている気分です。本当は英語でコミュニケーションをしたほうが私の勉強にもなるのでしょうけれども。

今は別の階に行っている彼女とエレベーターで会いました。エレベーターは彼女の図書館でも利用者の苦情が多い"ポイント"だとのこと。その彼女は、うちの職場のエレベーターを評して曰く「このエレベーターはよく働きますね」。もちろん、意味はわかるのです。"This elevator works better (than ours)"と言いたいのでしょう。が、私があえて事象を面白く表現するために、わざと選ぶような動詞です。エレベーターは「働き」ません。プログラム通りに「動く」だけです。そのときに「よく」という副詞をつけるのもちょっと微妙。「このエレベータは(うちのよりも)ちゃんと[きちんと]動いてますね」のほうがより普通な日本語だと思われます。

改めて働く、動くを辞書で調べてみると。


うご・く 【動く】

(動カ五[四])
(1)物の位置・方向などが一定せず、変わる。一か所を固定されたものが揺れる。
(2)機械などが機能する。
(3)人や組織が活動する。行動する。
(4)ものごとの状態が変化する。
(5)心が変化する。特に、あるものの方へ気持ちが向かう。
(6)確定的でない。打ち消しを伴って用いる。
(7)組織における地位・職務・勤務場所などが変わる。

はたら・く 【働く】

(動カ五[四])
(1)肉体・知能などを使って仕事をする。一生懸命にする。
(2)職業・業務として特定の仕事をもつ。
(3)機能を発揮する。効果・作用が十分現れる。
(4)そのものとしての力が生かされる。役に立つ。
(5)悪いことをする。
(6)語尾が変化する。活用する。

*どちらも「大辞林 第2版」による


そのものの意志や機能は関係なくモノが移動、作動することが動くで、そのものの意志や機能が作用して結果的に動いたり何かをしたりするのが働くなのかな。よくわからないけど。でもそんなこと考えなくても、なんとなく雰囲気で働くと動くは分けて使ってますよね。言葉って面白い。

コメント