図書館の複雑さは歴史に比例する

『薔薇の名前』に出てくる修道院図書室。当時書物は非常に高価で、かつ教養そのものだったために、こういう知識層にとっては、書物は宝石よりも価値があり、権力そのものだったそうです。でも今もそれほど変わっていません。図書館の規模はそのまま大学の歴史を表すものです。古くて一流と呼ばれる大学は、古い本を大量に所蔵しているものなのです。

しかし旧帝大はなかなか難しいのです。どこも○○大学と外面は同じ大学のような顔をしていますが、実態は「○○大学△△学部」という組織ごとに別の大学のようなもの。それぞれが図書室・図書館を持ち、それぞれ別の場所に配架され、管理されています。その複雑さは外から見たら迷路のよう。

しかし勤める図書館で持っていない古い資料は、そういう古くて複雑な大学が所蔵することが多い。勢い「○○大学図書館の資料を閲覧したい」という学生・院生が紹介状を求めてカウンターにやってきます。私は内心(えーまた○○大学?)と思ってます。「うちの図書館で持ってませんか?」「協定大学(紹介状不要)の図書館で持ってませんか?」とこれはマニュアル的な対応ながらも実は必死です。複数冊閲覧したくて、どっちも持ってるのはその大学だけ、なんて場合、もう仕方ないので受け付けます。紹介状には相手館の所蔵調査(閲覧したい本が閲覧できる状態にあるかどうか)と閲覧許可が必要なので、今度はその大学のどこに連絡をすればいいのか確認をするのです。私立大学はキャンパスごとに別部署になってたりしても、学部毎、さらにその研究室毎に別になってるなんてことはまずありません。しかし!

国立大学は違うのです。

ファイル1冊分にもなる某大学の問い合わせ方法一覧を確認しながら、1冊が研究室内にあることを確認した私。研究室に電話しても誰も出ないので、学部図書館にかけると、やっぱり「研究室に直接問い合わせしてください」と言われるし、番号も合っている。もう一度しつこくかけると、ようやく先生らしき人が出て「今日は助手がいないからよくわからないんだよ」との回答。「で、どの本?」って言うので題名を言うと「ああ、それならこの前授業で使ったからあると思うよ、とりあえずいつもFAXしてもらってるみたいだからそうして」と言われました。

つーか、フツーの家みたいじゃん。OPAC要らないじゃん。

その大学は場所によってコピーができないとか(でもデジカメでの撮影は可とか)、閲覧時間が違うとか、紹介状が不要とか、閲覧不可とか、問い合わせ番号が間違ってるとか、もういろいろあってすんごい鬼門です。

きっと問い合わせも多いであろう、その某国立大図書館はスタッフも大変なんだろーなーと思ったのでした。

コメント