[movie]パッチギ!


監督: 井筒和幸
出演: 塩谷舜, 高岡蒼佑, 沢尻エリカ, 楊原京子, 尾上寛之, 真木よう子, オダギリジョーほか
原案:松山猛「少年Mのイムジン河」(木楽舎刊)
脚本:羽原大介
配給:シネカノン
2004年/日本/119分/カラー/

グループサウンズ全盛の1968年京都。府立東高校と朝鮮高校は非常に折り合いが悪く、度々問題を起こしていた。新聞のトップになるような大乱闘があった翌日、担任が松山康介(塩谷瞬)とその親友の紀男(小出恵介)に、朝鮮高校にサッカーの親善試合を申し込んでこいと言う。決死の覚悟で朝鮮高校に乗り込んだ康介たち。「イムジン河」のメロディーに誘われて、音楽室にたどり着くが、そこで康介はキョンジャ(沢尻エリカ)に一目惚れする。ところが彼女は朝高の番長アンソン(高岡蒼佑)の妹で・・・


「イムジン河」がね、すごーく良いんですよ。効果的に使われてて涙を誘います。最近でこそ韓国とは急速に近くなってますけど、一方で北朝鮮との溝は深まるばかり。朝鮮半島と日本の微妙で複雑な交流史は、それぞれの国に禍根を残し、アメリカの肌の色による人種差別とはまた違う嫌悪感がいまだにはびこってます。そういう一人の若者にはある意味どうしようもない政治的、社会的な問題に、ただ一人の女の子を好きになったことで悩まされる男の子。朝鮮人のお爺さんに罵倒をされて、言い返せなかった彼が取った行動に、私は非常に心打たれました。今ちょうど日本と韓国では映画や音楽といった大衆文化の交流が盛んになって、それ故に心情的にも近しく感じるようになってきているみたいに、政治とか話し合いとか、そんな形ではない方法を示したこの映画の結末は、一つの考え方なんじゃないかな~と思うのです。

まあ、そんな難しいこと抜きに、ノリも(ノリは「ビーバップハイスクール」だったな)、若者たちの熱さも、そして「イムジン河」も、とにかく良いです。いや、実は今難しい問題とか微妙な関係とか言われてるものも、一度「パッチギ」でやり合えば(ボタン押せば一気に絶滅するようなそんな兵器じゃなくてね)、どうにかなる話なんじゃないか?みたいな。そんな気分になれる映画です。

コメント