保護するならそれらしく

図書館にいるとたまに困った事例にぶつかります。図書館は著作権の31条で複写の例外が認められている機関ですから、他大学へ論文の複写を依頼したりすることが多々あります。しかし、全文コピーは著作権が切れてないとダメ。通常著作者の死後50年が著作権の期限です。つまり今年著作権が切れる資料は、1955年に著作者が亡くなっている資料。下手すると明治時代の本でも著作権が切れないのです。

当然そんな本は古本屋に行っても探せないものがほとんど。絶版になり、著者が亡くなってしまって誰が権利を持っているかもわからないような資料も多数存在します。しかしコピーをするには「著作権者の許諾が必要」です。当然亡くなった年が分からなければ、著作権の消滅を証明できないのでそれを調べる必要もあります。

が、しかしそれって現実的だと思います?つい先日もあと7年程度で著作権が消滅する本に複写依頼があったのですが、著作権は消滅しておらず、しかも著者が亡くなったのは40年以上前。誰と連絡を取ればいいのかさえもわからない。そもそも縁者がどこにいるのかを調べるのが図書館の仕事なのかどうか。資料は絶版で、国内で確認できるのは国会図書館とうちの館の2館だけ。そんなのもういいじゃん、って感じですよね。まあ絶版で手に入りにくい資料の場合、図書館への受入を前提として全文コピーをしてくれるサービスはあるんですけど(「保存を目的とするコピー」っていうやつですね)。

ちなみに団体著者の場合(○○協会が著作権を持っている場合)は公表後50年が著作権の期限です。公表年月日は通常資料に記載されていますから分からなくていつまでも著作権が消滅しないなんてこともありませんし、それがベターなんじゃないかなあ。少なくとも著作権者が亡くなって50年経っても経済的な価値がある資料って特に図書館には多くないんですよ。内容的に価値はあっても。漫画とか、アニメとか、著作権自体が金を生む場合はわかりませんよ。ただそんな場合は権利を主張する人間がいるでしょうから、公表後50年経ったら1年とか5年とか毎に登録料を取って、登録制にしたほうが良いと思うんですよね。それで最大70年保護とかにする。著作権者はデータベースで調べられるようになっていれば尚良。誰と交渉すればよいのか一目瞭然。そこに載ってなくて、公表後50年経ってる資料はもう著作権が消滅している。あいまいさが無くなって良いと思うんですけど。

保護するなら、保護期間、保護している対象はやっぱりはっきりすべきだと思うのです。法律なんですから。個人的には50年は長すぎると思ってるんですけどね。

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