[movie]カナリア


監督・脚本: 塩田明彦
出演: 石田法嗣, 谷村美月ほか
日本/2004年/132分/カラー/

カルト教団ニルヴァーナがテロを起こした。そのとき施設にいた子供たちは警察に保護され、児童相談所に預けられた。子供たちは次第に心を開き、普通の生活になじんでいったが、一人の子は決して教団の教えから離れようとはしなかった。岩瀬光一、12歳。彼の妹は祖父母に引き取られたが、祖父は光一の引き取りを拒否する。彼は妹を祖父から取り戻すため、児童相談所を脱走した。


「子供は親を選べない」って言われますけど、それでも「子供にとってどんなにひどい親でも、親は親」なんですよね。それを見せつけるシーンが何度かあって、それがとても印象的でした。親は子供をどう育てることもできるけれども、子供はその良し悪しを判断できないことを肝に銘じなければならない、ってことなのかも。

父親を亡くし、母子3人でニルヴァーナに入信してしまった彼ら。母親と離ればなれで生活している中で、幼い娘は徐々に生きる気力を無くし、息子は反発する。あの顔で12歳っていうのはどうなの、って思いますけど、あえて寡黙・無表情にしたことで、心の傷の大きさを最大限に表現しているところがよかったですね。それと同行の女の子。強がってるけど、やっぱり12歳の女の子。こちらは逆にしゃべりたおすことで、孤独感や閉塞感に気づかないようにしようとしている感じ。大人の建前本音の使い分けというか、まあそれが大人っていうことなのかもしれないですけれども、それを強く感じ取っている彼らが、一方では援助交際、一方はカルト教団への頑なな傾倒という形で理不尽さに対する心の悲鳴を表そうとしているのかなと思ったのでした。

テーマとしては考えさせられる重い映画でしたが、ストーリーは結構軽快な感じだったですね。ちょっとステレオタイプ過ぎるところがもう少しかと私は思ったのですが、それはひねくれすぎでしょうか。

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