[movie]サマリア


原題: 사마리아
監督・脚本・美術:キム・ギドク
出演:クァク・チミン/ソ・ミンジョン(ハン・ヨルム)/イ・オル/
配給:東芝エンタテインメント
2004年/韓国/95分/カラー/

ヨジン(クァク・チミン)とチェヨン(ソ・ミンジョン)は高校生。いつも一緒にいる大親友だ。2人はヨーロッパ旅行のため援助交際をしている。実際に男と会うのはチェヨン。ヨジンはそれを嫌がりながらも、チェヨンの相手となる男をあちこちで調達し、見張り役をやっていた。目標まであと少し。そんなときに悲劇が襲う。


この2人の関係っていうのがすんごく微妙で良いですね。私の見る限り、ヨジン→チェヨンの一方通行という感じ。ヨジンは大好きな親友に援助交際させている自分が嫌だし、男と楽しそうに会うチェヨンが嫌だし、そして何より罪悪感に苛まれているのに対し、チェヨンはどこまでもあっけらかんとしていて、かつその親友に家族の連絡先さえ教えていない。そのチェヨンに置いてけぼりにされているような気がしてイライラするヨジンの描写とか、すごい巧いな~と思いました。

面白いのは、この物語はあくまで「金欲しさに援助交際なんかする女子高生とその悲劇(喜劇)」がテーマじゃないってこと。援助交際と2人の友情について描かれる第1部は、実際は男と会わないヨジン側から描写されてるし、第2部以降、ヨジンが取った行動は「金欲しさ」ではなく、「喪失感、罪悪感」から出たもの。そして娘の行動を知ってしまった父親が取った行動は、娘に向かうものではなく、相手に向かったものでした。

そうして登場人物の誰もが傷を負い、悩み・・・というこの映画が、一体どこに落ち着くのかと思ったのですが、これは良いですね。最初から最後まで、一本筋の通ったものすごく考えられている映画だと思います。暗いですけど。

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