刷り込まれるステレオタイプイメージ

『メディア危機』に関連して、こんな記事を見つけました。

中国人は反日デモをどう見るか - nikkeibp.jp - 中国調査業界裏事情

コメントを見ると反論ばかりですが、中国からの留学生が沢山いるように(私の勤める大学には沢山の中国人留学生がいますし、熱心に勉強してます)、日本人も中国へ沢山旅行に行ってますよね。この人のように中国へ移住してしまう人もいますし、中国には沢山の日本法人が支社や工場を持っています。中国のすべての人が反日デモに加わったわけではないし、日本人がすべて中国を嫌っているわけではないでしょう。逆に10億人を超えると言われる成長市場は、狭い日本にとっておいしい市場でもあります。それを「中国人は」とか「日本人は」とか、ひとくくりにすることで、何か違うものが出来てしまう。変な対立が起こる。そう思えてなりません。

中国の西安に行ったときのことでした。どこへ行ってもいろんな土産物を売りつけようとする子供たちにここでもやはり囲まれました。バスまでついてきていた彼らに、私が「要らない」といった後、じゃあもう出発だからね、バイバイと手を振ると、そんな小銭も出してくれないケチな日本人に対しても、彼らは悪態をつくでもなく、笑顔で手を振ってくれました。

もちろん、イタリアでもフランスでも中国でも、どの国に行っても、平和ボケで金を持ってる日本人観光客を狙う悪質な人たちはいました。だからと言って全員が犯罪者なわけでも、全員が「日本人」を嫌ってるわけでも、逆に全員が「日本人」を好きなわけでもありません。それは、日々接する周りの人の中に、あなたが(あるいはあなたを)苦手な人がいるけれども、すべての人があなたを嫌っているのではないのと同じことです。そんな当たり前のことが、「中国人はこういう人たちだ」とか、「日本人はこう思われている」というイメージのすり込みで思い出せなくなるのが一番怖いことなのかもしれないと思ったのでした。

もちろん、この人の言っている中国のイメージはあくまでこの人の目を通してみたイメージであって、誰もが共有するイメージではないことも確かです。だとすると、メディアが切り取っているイメージが(写真やテレビで見て、期待して行ってみた風景にガックリすることは、誰もが経験することでしょう。例えば札幌時計台とか(笑))、本来の姿であるかどうかも定かではないのです。そのイメージは極端ではないの?メディアが勝手に作り出したイメージじゃないの?と常に疑ってかかるのは現代のメディアリテラシーに必須の条件なのかもしれません。メディアが「演出」と称しながら、自分の撮りたいモノを撮ろうとするのは、「NHKスペシャル」の事件をあげるまでもなく、事実ですから。

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