ネットと放送の大きな違いと勘違い

久保伸太郎 「ネット放送も主役を狙う」 日経ビジネス2005年10月10日号

番組のネット配信で先頭を走ることになった日本テレビ放送網。その社長へのインタビュー記事です。

この記事を読むと、番組編成権は絶対に手放したくないってのが良く分かります。ただ、ネットの最大の強みは、好きな時間に、自分が見たい内容の番組を見られる、という点。番組編成は視聴者がするのです。配信側は素材を吟味し、どのようなコンテンツに仕上げるか、という点には関わるのでしょうけど、そのどれを見るとか、どういう順番で見るとか、いつ見る、ってところは視聴者に委ねるべき。別に春に紅葉の情報を見てもいいだろうし、地上波ではなぜかニュースの無い20時台にニュースを見てもいいじゃないの、ってことですね。

例えば、1時間番組とか2時間番組ってのは、放送側の都合で決められてます。その中で何を提供し、どの順番で見せるのか、ってのも放送側の意図で決められてました。ネットはそうじゃない。何時間見るかは視聴者の自由。その中でどの素材をどの順番で見るのかも視聴者の自由。例えばスポーツニュースだけの34分、政治ニュースだけの28分とかってのも可能なわけです。当然ネットに流す番組の内容は、ネット用に編集しなくてはならないだろうし(「ファイナルアンサー?」だけの画で、5分も10分も持たすことはもうできない)、その辺、テレビのノウハウはネットでも生かせるって考えるのは甘いんじゃないかなあ。逆に伝統も自負もある分、そこから脱却し、発想を180度転換するのは、かなり難しいのでは。前にも言ったように、双方向性でデジタルなネットと、一方向でアナログのテレビは、似ているようで実は全く違うもの。どちらかというと、新聞のほうがネットに近いという持論は変わりません。だから、テレビ局が単に電波が電話線に変わっただけ、と思っているのなら痛い目に遭うと思うのです。

この記事ではその辺りが全くわかっていらっしゃらないように見受けられます。今後の展開に注目ですね。

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