[movie]青い棘


原題: Was Nutzt Die Liebe in Gedanken
監督: アヒム・フォン・ボリエス
出演: ダニエル・ブリュール, アウグスト・ディール, アンナ・マリア・ミューエ
2004年度/ドイツ/カラー/90分/

ワイマール時代のドイツ。パウル(ダニエル・ブリュール)は、同級生のギュンター(アウグスト・ディール)に別荘で週末を過ごさないかと誘われた。パウルは一も二もなく承諾する。別荘での若者だけの週末の魅力に加え、そこにはヒルデ(アンナ・マリア・ミューエ)がいるからだ。そして悪夢のような日曜日が始まった。


好青年役の典型とも言えるダニエル・ブリュールがちょっと違う役柄に挑戦、と思いきや、やっぱり真面目な青年という役は抜けきれなかったようです。映画の予告編を見たとき、同じような考えを持つ、尖った感じの青年たちの物語なのかと思ってましたが、実際はパウルとギュンターというのは対照的な二人を表していたのでした。最初はどちらかというとパウルのほうがウブで夢見がちな青年という役どころなのですが、どこまでも夢と理想を追い求めていたのは実はギュンターのほう。立派な別荘を自由に使えるような身分であるギュンターと、苦学生のようなパウルは、最初から人生に対する考え方が違ったのかも知れません。夢のような始まりを迎えた週末が、徐々に悪夢の様相を帯び始め、そして悪夢の日曜日は覚めないままにラストを迎えます。パウルの「無意味だ」という言葉が、ネバーランドからの脱出を示すのに対し、それをあくまで拒否するピーターパンのギュンター。若さの美しさと儚さとそして残酷さを見事に表現した作品でした。若さとは何なのか、そしてそこにいつまでもとどまるのではなく、それを越えて大人になるとはどういうことなのか、考えさせられます。

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