[exhibition]最澄と天台の国宝展

今日は上野へGO!公園口から出ようとしたら大量の家族連れに阻まれたのですが、唯一空いていたSuica専用レーンでなんとか潜り抜け(GWに上野に行く人はSuica必須だ)、国立博物館へ。まだ10時くらいだというのに科学博物館のナスカ展はチケットにも長蛇の列、入場にも制限がかかってましたが、国立博物館はまだ余裕がありました。

天台宗というと、最澄と比叡山というイメージが強かったのですが、これが案外広いんだということを改めて感じさせる展覧会でした。最澄から始まって、法華経と共に全国に広まった天台密教、毛越寺や中尊寺もその流れだったんですね。全体として、天台は時の権力と一緒になって民衆を導く存在だったのかな〜ということ。平安時代の宝物には、権力者やその縁戚が奉納したと言われる絢爛豪華なものや、紺の紙に金や銀で書かれた経典、螺鈿や金粉が使われた仏具など、どこか派手な印象があります。中尊寺金色堂もその結晶と思えばうなづけるものがあります。一方で六道図(日本製のものは、隣に置かれていた中国製に比べてかなりグロい)や、二十五菩薩坐像(そのうち今回は3体が展示)など極楽と地獄という分かりやすい対比で民衆を導く、というのは権力者側にとっても都合の良い宗教だったのかなあとか。ああ、でも延暦寺派は僧兵として権力と戦ったという歴史もありましたね。

やっぱり私の目をひくのは仏像なのですが、二十五菩薩坐像(のうち獅子吼菩薩、白象王菩薩、普賢菩薩)は、今まで見たことの無い仏像でした。これは二十五体そろっているのを見てみたいですね。壮観かも。また、さすが総本山だけあって、延暦寺の四天王立像(2体のみ、残り2体は焼失)は本当ににらまれているみたいで、これが四隅に居たら、確かに怖いなと思ったのでした。同じく延暦寺の聖観音菩薩像は本当に綺麗。こういう生きているみたいな仏像は、周りの空気まで変えるような気がします。密教だけあって、不動明王は像も画も多かったのですが、やはり国宝にもなっていて、今回の目玉でもある黄不動はその中でも異色の存在。出品が原本ではないのは残念ですが、教科書で散々見た黄不動そのもので、ちょっと感動。異色と言えば、私が展示品中もっとも異色だと思ったのが、鞍馬寺の毘沙門天立像。国宝でも重文でもないのですが、他と顔の様子が全く違うのです。やけに人間的。というか、当時の誰かをそのまま仏像にしたんじゃないかというくらい、生々しい顔つきで、とても印象に残りました。

2時間くらい見て、平成館玄関口へ戻ってくると、入場制限されてました。そのまま出ると混んでそうでしたし、ちょうど本館では光琳の風神雷神図が出ているみたいだったので、本館にも寄ることに。風神雷神図は絶対見てると思ってたのですが、実際現物を前にしたら、あれ、やっぱり初めてみたかも、と思いました。図録や教科書(もしかしたら入試でも?)で散々見てたので、実物も見た気になってたのでしょうか。意外に力強い線に驚き感動して、ジロジロと見てしまいました。図録なんかではあの力強さや色合いは表現しきれてないですね。まだしばらくは出てると思うので見てない方は是非。

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