環境の壁

先日、カウンターに外線がかかってきて、先生から参考資料として指定されたファイルが開けない、ほかに入手方法が無いかという問い合わせがありました。確認したところ、ネット上にあげていたファイルはWordファイル。そして利用者の環境はMacでした。ファイルを開いて、引用を確認し(紀要に掲載された論文だった)、図書館でコピーする方法を教えましたが、彼女自身はパソコンをいじることに全く問題ないのに、環境の壁で跳ね返されるのって。しかもテキストファイルじゃなくてWordファイルで、不特定多数が見る参考資料としてあげるのってどうなんだろ。

まだ、この場合は代替もあるし、不特定多数とは言っても受講者だけなので許せる範囲かもしれませんが、近代デジタルライブラリー国立公文書館デジタルアーカイヴの高解像度ファイルを見るには、JuGeMuというWindows+IEでしか使えないプラグインが必要なのです。いずれも国立機関っだっていうのが問題。国会図書館のほうはJpegでもアップロードしてるのでまだましですが、国立公文書館のほうはそのJuGeMuやDjVuというプラグインが無いと多くのファイルが見られません。高解像度とか、高機能インターフェースとか、こだわりは良いのですが、それをWeb上でやるのは間違ってると思うんですよね。国会図書館や公文書館に来れば、別インターフェースで高解像度の画像が見られますよ、というのならわかるのですが、Web上に載せるならJavaとJpegで十分。変なプラグインとか使ってほしくないというのが本音です。クライアント側に要求するものが大きいシステムは、大抵失敗に終わるというのは、旅券電子申請、コストは1件1600万円 今年度で停止(asahi.com)という報道がよく表していると思います。

YouTubeが優れてると思うのは、そういう障壁がゼロであるということ。度重なる著作権問題にも全く利用者が減らないのも、利用者数でGyaoを抜いたなんて言われるのも、その優位性からではないでしょうか。この前NHKニュースで先日起きた土石流のビデオを撮っていたという人からの投稿映像が流されてましたが、ちゃんと撮影者が実況も入れてるですよね。素人映像とは思えない映像で、あそこまで撮れたら何もNHKに送らなくても、YouTubeにアップロードして自分のホームページで宣伝すれば立派なニュースになるのでは。まさにBroadcast Yourselfの精神。

Windowsを使ってた頃って、あんまりそういうの気にならなかったのですが、案外障壁は大きいもので、腹立たしいというのも今Macを使っているとよく分かります。「これだからWinユーザーは・・・」というぼやきも今なら理解できます。最近Macの売れ行きは好調のようですから、ある程度広がれば、無視も出来なくなるでしょうけれども。

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