2008年9月6日

[movie]12人の怒れる男

原題: 12
監督: ニキータ・ミハルコフ
出演: セルゲイ・マコヴェツキイ、ニキータ・ミハルコフ、セルゲイ・ガルマッシュ、ヴァレンティン・ガフト、アレクセイ・ペトレンコ、ユーリ・ストヤノフ、セルゲイ・カザロフほか
2007年/ロシア/160分/カラー


チェチェン人の少年が、養父を殺害した罪に問われた裁判。証拠も目撃情報もあり、陪審員たちも「この事件はすぐに決まるだろう」と思っていた。しかし、速く終わらせたい一同が、いきなり評決を行うと、一人だけが無罪に入れる。一人の少年の人生を左右する問題を、そんなに安易に決めてもいいのかと疑問を呈したのだ。他の12人も不本意ながら話あううち、議論は思わぬ方向に。

先日この元の米国版を見ましたが、大筋は踏襲しながらも、ロシアの現代に合わせた工夫がされていて、ジャンルとしてはミステリのくくりだったオリジナルと比べ、社会派的な要素が強くなった作品です。ロシアのエンターテイメントってほとんど入ってきてないですし、テレビドラマシリーズなんかがあるのかどうかも知らないのですが、この映画を見る限り、ロシアは大変なんだなあと思ってしまいます。オリジナルと比べて長さが倍になっているのは、オリジナルでは人々の口からしか語られなかった事件の背景が描きこまれているからですが、それがあまりにも重い。「チェチェン紛争」という名前は知っていても、あまりにもロシアのことを知らなかったことに反省しきりです。「描きこまれている」とは言っても、順序立てて語られるわけではないのです。全体的に比喩的なカットがちりばめられている感じで、そこに連なる歴史的背景が分かっていない私は、ちゃんと理解してないかもしれません。

その重みが全体の色を変えてしまっているので、観た後の印象はオリジナルとはかなり違うものでした。これがオリジナルと思って観ていれば、違う感想も出たかもしれませんが、オリジナルの無駄をそぎ落とした美しさと比べてしまうと、ちょっと劣る印象を受けます。ただ一方で、この作品はあえてそのオリジナルに「無駄」を入れることで、別の主張をしたかったのかなーとも思ったのでした。

ただ、オリジナルとの比較は別にすれば、十分見応えある映画でしたし、スケジュールを見たとき「長い映画だな」と思った160分という長さも苦ではありませんでした。そして、ロシア映画自体を観たのが初めてだった私は、ロシア映画の作りそのものに新鮮さを感じました。そう言う意味では単館系の映画を好んでみられる方にはおすすめです。

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