2010年1月18日

建造物の50年

五島美術館が増改築のため、今年の秋から閉館になるという連絡がありました。大規模な増改築を行うそうです。五島美術館が建築された50年前、昭和30年代というのは、オリンピックや高度経済成長という日本にとって最も明るい時代だったのだと思いますが、あの頃経った建物が今次々壊されているような気がします。オリンピック時代には次々と公団住宅が建てられましたが、今URでは建築年代の古いものを次々建て替えてます。前に住んでた公団も、そういう建て替え住宅のひとつでした。また、東京都の資料によると、アスベストが使われるようになったのは、昭和30年代から。吹付けアスベストが禁止されたのは昭和50年なので、「アスベスト除去のため」と次々閉館していた図書館たちも、あの頃の建物なのかもしれません。ふと思うのですが、老朽化とか、耐震性の問題とか、コンクリートって十分強いはずなのに、たった50年しかもたないものなのでしょうか。

多分あの頃の建物が次々建てかえられているのは、老朽化ももちろんあるのですが、その老朽化の中には「陳腐化」も混じっているのではないかなーとも思えます。端的に言って「古臭い」とか「使いにくい」とか。昭和30年代を象徴する建物のひとつ、東京タワー。約50年ものあいだ、東京のシンボルとして多くの修学旅行生や観光客を受け入れてきたあのタワーも、今年電波塔としての役目を終えます。もちろん、タワーが無くなるわけではありませんが、実際のところあの建物は誰が入っても「古臭く」て「昭和のにおいがする」と思うのではないでしょうか。それも悪くないとも最近は思えるんですけどね。

東京という移り変わりの激しい土地にあって50年というのは長すぎる時間なのかもしれません。でも、世の中には、100年前の住宅とか、1000年前の建物とかが現存するのに、なぜ昭和30年代に建てられた建造物は50年しかもたないのでしょうか。実は個人的にすごく身近な場所で、50年前の建物がぶち壊され、新しい建物が建てられています。本来ならば年月が経つことで風格が出てくるのではないかと思うのですが、あの頃の建物はそうじゃないってことなのかなぁ。

昭和30年代の熱気は、熱病みたいなものだったのかもしれません。昭和30年代は明るい時代であった一方で、水俣病を始めとする公害病が問題になった時代でもあります。とりあえず建ててみようとか、オリンピックに間に合わせなければとか、後先考えなかったツケが今になって噴出してるのでしょうか。

多分もうああいう時代は戻ってこないと思うのですが、だからこそ、限りある資源や財源を「使い捨て」じゃない方向で使ってもらいたいものだと思う今日この頃です。

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