トロント国際映画祭の1週間

トロントに来て翌週から始まったトロント国際映画祭。このために北アメリカやヨーロッパからたくさんの人が集まってきてるなあという感じ。もちろん、トロントの人たちは映画をあまり見ない人も「今週は映画祭なんだ」ということは誰もが知っていて、同じ略称を使う東京国際映画祭とはちょっと違う感じです。ニュースでも、毎日「今日の見どころ」とか、今日は誰が来たとか、話題にしていますし。

私もお祭りに参加しようと、ハリウッドスターを追いかけ、そして映画を4本見ました。海外は、観客が静かに映画を見ないって聞いてはいましたが、なるほど、本当にそうですね。悪いヤツが出てくると罵るし、「うあー」とか「おー」とか「ヒュー」とか、とにかく声を出す。あーでも日本映画2本では、多少の笑いだけで、咳き一つない感じでしたが(笑)。

そして、彼らは絶対にエンドロールを見ない。驚いたのは、エンドロールが始まったら出てくのは、日本でも普通だし、別に良いのですが、その辺で立ってしゃべり始めるんですよ。「久しぶりー」とか。「どこ行く?」とか。あえてエンドロール、またはエンドロール後に仕掛けを作る映画が最近多いですが、そういうのは事前に情報を流さないと、彼らには見向きもされないかも。

こちらの映画館のシステムは、まだあんまり洗練されていません。東京ではすでに多くの映画館が事前座席指定になっていますが、こちらはまだ並ばせるタイプ。そこまで並ぶ映画は普段はあまり無いのかもしれませんが、例えばノルウェイの森とか、事前販売は完売するほど人気だったりしてるのに、あくまで並ばせるのです。そして起こるのが、中途半端に開いた座席。ただトロントの人たちは皆いい人たちです。どこか開いてませんか〜とボランティアが声をかけると、「ここ2つ」とか「ここ1つ」とか、みんな手を挙げて示してあげます。私も「ここ空いてますよ」はちゃんと言えるようになりました(笑)。いい意味で人間頼りですが、悪いのは、あくまで人間に頼ってしまって、そこにシステムを入れようとしないところかと。事前座席指定なら、あそこまでの人数のボランティアを入れる必要はないし、寒い中並ばせて、道を塞ぐこともありません。そしてもう一つ驚いたのが、上映前からやたらと映画館内が暗いこと。だから、懐中電灯持参の人がいるんです!『冷たい熱帯魚』を見たとき、私の隣の人が布製のバッグを落としてしまって、上映後に「僕のバッグありませんか」って探してたんですけど、前の人が懐中電灯持参の人で、下の方を照らしてあげて、無事見つかりました。いい意味でも悪い意味でも「東京ならありえない」ことが、ここでは普通に行われています。

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