カーサ・ローマ

昨日までの陰鬱なお天気もどこへやら、今日は朝から晴れたので、予め許可を取っていた図書館内の写真撮影をしたあと、カーサ・ローマに行ってきました。

トロント市内では、CNタワーと並ぶ観光名所です。このおよそトロントに似つかわしくない中世ヨーロッパ風のお城は、トロントの資産家でカナダ軍の将校でもあったペレット男爵の自宅として建てられたものです。



98もの部屋がある内部は、本当にお城そのもの。ヨーロッパで本当の中世のお城を見たことがあるんですが、カーサ・ローマもっと明るくて、大広間には最盛期には沢山人が来て楽しんだんだろうなあと思わせる作りです。



ペレット男爵の人生は波乱万丈。なんで映画化されてないんだってくらい面白いんです。1階の奥で、約20分の彼の生涯を描いた映像が流れてるんですが、かなり楽しかったです。トロントの電灯やストリートカー会社への投資をしたりして大成功をおさめ、一時期はカナダ経済の25%を彼が握っていたそうです。ナイアガラの水力発電所で大きな投資を行った後、彼は「中世のお城に住む」という夢を叶えるため、トロントを見下ろす丘にこのカーサ・ローマの建設を開始、建設途中から住み始めましたが、そのメンテナンスコスト、莫大な建築費、そして投資の失敗や第一次世界大戦による環境の変化によって破産、結局完成を見ることなくカーサ・ローマを売りに出さなければならなくなりました。建物の地下には、今も工事途中のまま放置されたプールが残っています。持ち主が変わった後、最終的にトロント市の持ち物になり、そのうち観光地として観光客に公開されるようになったときも、彼は初日の式典に参加し、「自分は満足だ。この建物は人を楽しませるために造られたものだから」と言ってたそうです。

見方を変えれば、巨万の富を築きながら、夢を追いかけすぎて環境の変化についていけず、金を失ってしまった、よくある破産者の物語ですが、彼の最後は決して惨めなものではなく、盛大なお葬式が行われたそうです。なんかカナダらしいお話で私は結構いいなーと思いました。今も、この丘の家の塔からは、トロントの街の向こうにオンタリオ湖が見えます。

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