2011年2月22日

トロント滞在6ヶ月

6ヶ月滞在したトロントとも、今週末でお別れです。週間天気予報を見てると、ああもうその時はここにいないんだなあと思うと寂しいです。改めてCNタワーを見ると、あの形はとても美しいんですよね。東京タワーもスカイツリーも嫌いじゃないですけど、CNタワーの凛とした佇まいが私は好きでした。

いくらインターネットが発達し、地球の裏側で起こっていることを瞬時に知ることが出来たり、地球の裏側の人とリアルタイムで話したり、手紙(メール)のやりとりをしたりできるとは言っても、言葉が異なり、文化が異なり、気候も政治システムも歴史も全く違う国で生活すると、やっぱりカルチャーショックというものは多々あります。ヨーロッパ諸国や、中国を旅行したときとは、ちょっと違う意味でのカルチャーショック。カナダは、少なくともトロントは、ここに来る前に漠然とイメージしていたカナダとは全く違う国でした。中学の日本史レベルの内容なら、数週間でカナダ史全部をやってしまえるほど歴史が浅い国ですが、知れば知るほど不思議で、かなり面白い国です。ある方が「社会主義国っぽい」と言ってましたが、なるほど私が思った不思議さは、そこにあるのかもしれません。

私があれこれ驚いたという話をするので、「何か驚いたことはある?」ってよく聞かれてたんですが、私がトロントでの6ヶ月の中で驚いたことベスト10は、

1.トロントの人口の約半分が外国生まれ。
Visible minority(統計上の定義は「先住民族ではなく、かつコーカソイドもしくは白人ではない人」を指す)で最も多いのが10%以上いる南アジア系。次が同じく10%を超える中国人。この国の人口の100倍近い人間がいる中国は、やろうと思えばこの国ごと乗っ取ることだって可能じゃないかしらんとも思う。visible minorityではなくとも「私の祖父はどこそこから来た」と言う人も多く、バイリンガルも多い。また、日本人はできないが、他の国は条件によって二重国籍を認めていて、カナダ人でありながら、他の国籍を持っているという人も相当数いる(出身国に帰るときは、そのパスポートを使うとか)。TTC(トロント市交通局)には20ヶ国語もの多言語電話案内があるが、残念ながら20ヶ国語もの言語の中に、Twitter上では第2言語のはずの日本語は含まれない。

2.レジ袋税
トロントのお店は、たとえSearsやthe Bayのようなデパートでもビニール袋は5セントとられる。レジで大抵(do) you need a bag?と聞かれる。買い物バッグ比率は高く、「買い物バッグ」という商品カテゴリが存在する(私はIndigoで買ったのを愛用していた)。ただ、たった5セントなので、たまに面倒臭くなるとビニール袋お願いしますって言ってしまう。no bag, no air miles(スーパーでつくポイント。日本のTポイントに近い), pay by VISA[without chip]が合言葉。

3. リンゴや洋梨はまるかじりが原則
丸い果物をカットしない。そのまま丸齧りする。最初の週、会議中にリンゴを丸ごとかじっている人がいるのを見て衝撃を受けた。数週間後、ある会合でランチボックスの中にサンドイッチとリンゴ1個が入っていたとき、私は困って、リンゴはそのまま家に持って帰って切って食べた。まるかじりは最後までできなかった(だって皮がピカピカなんだもん)。スーパーでいろんな種類のリンゴの説明札には「調理用」のほか、「まるかじりに最適」というのがある。ヒルトン・ニューヨークの朝食ビュッフェにカットされていないリンゴがあったとき、これはもうどんな階級の人でも丸ごと齧るんだということを実感した。北米人は歯が丈夫。

4.トロントにはゴミの焼却場がない。
そもそもゴミを焼却せず、アメリカに運んでいた(12月まで)。収集は週に1回。ただし、ごみ集積場はなく、軒先までゴミ収集車が集めに来る。週3回の燃えるゴミ収集日(つまり燃えないゴミと資源ゴミの日は別にあった)が1日減らされそうになったとき、大反対運動が起きた某市のことを考えると、カナダ人は辛抱強いと思う。日本は市によっては毎日収集があると言ったら、「なんでそんなに必要なの?」って聞かれた。

5.飲酒のルールがものすごく厳しい。
鉄道でワンカップ大関とかありえないし、公園で酒盛りなんてもってのほか、ビアガーデンの出口に「ここから先は飲酒不可」の看板があったりする。カナダに来た翌日、家主さんとそのお友達とコンドミニアムの庭でバーベーキューしたとき、ワインが出てきた記憶があるんだけど(その時はこんな飲酒規制が厳しいとは思ってなかったので、不思議にも思わなかった)、あれはよかったのか?また、酒類を売れるのは州政府公認の酒類販売店(LCBO)だけ。私は酒飲みじゃないけど、道端の自販機やコンビニで酒類が買える国から来た人間から見ると、これは厳しすぎでしょって思うときが結構ある。ただ、公道で明らかな酔っ払いに出会うことはまず無い。少なくともダウンタウンでは。

6.牛乳が違う。
基本成分調整乳のみで、乳脂肪分の割合が違う複数のバリエーションがある。売れ筋はスキムミルク、もしくは乳脂肪分1%(Dairy cows by Census Division, 1996)。他の人があまり買わない3.25%(それでも日本で成分無調整なら、通常3.5%以上だから、やや薄い)を私は常用していた。でも成分調整乳を常用したのは、学校を出た後初めてだと思う。1%とか、スキムミルクとか、そのままの"牛乳"は見た目が薄すぎて飲めなかった。ちなみにパックはジュースも含めて2リットルがディフォルト。または3本入ったバッグがある。いずれにせよ1リットルだと割高なうえ、3ドル以上する。飲料は軒並み高く感じた。

7. 健康志向が強い。
牛乳の乳脂肪分が低いのも同じ方向性。そのせいか、ベジタリアン率が高い(んじゃないかと思う)。私が北米人に比べると痩せっぽちだからか、「食べられないものはないか、例えばベジタリアンとか?」とよく聞かれた。私が避けたいのは「蕎麦」なので、トロントの通常の食べ物にはまず入っていないだろうそれを、しかも英語で説明するのも面倒臭く、「何でも食べられる」と返していた。ベジタリアン専門のレストランはともかく、ハンバーガー屋にまで「ベジタリアンなんとか」とかいうメニューがあるのを見ると、何か間違ってる気がする。同じく間違ってると思ったのは、「カフェインレスのエスプレッソ」(どう考えても自己矛盾)。

8.地下鉄やバスは何でも乗ってOK。
自転車(もちろん分解しろなんて言われない)、犬猫などのペット類もOK。盲導犬じゃなくてもいい。座席に当たり前のようにおすわりしている犬をみて最初はぎょっとしたが、そのうち慣れた。ごく稀にリードを引きずった犬がかけずり回り、飼い主以外の人に愛想を振りまいていたりする。ちなみに雪道は犬の足にも冷たすぎるのか、それとも凍結防止に撒く塩がよろしくないのか、冬は大抵の犬が靴(らしき布みたいなの)を履いている。

9. 日曜日・祝日は書き入れ時ではなく、絶対的な休日。
お店は原則休みか短縮営業。24時間営業のスーパーが、祝日は休みで、祝日明けの午前0時に開くと書かれていたとき、ものすごく悲しかった。たとえ中心街のショッピングモールであっても、クリスマスは全市内休業状態。私の心のオアシスは、大晦日も元日も、短時間営業ながら開いていたBloor通りの"Tim Hortons"(しかもここは大学の無線LANが拾えたので、休業期間中は入り浸っていた)。

10. 国歌なのに英語バージョンとフランス語バージョンがある。
初めて"O Canada"を聞いたときは、大リーグの試合のときだったので、当然英語バージョンだった。しばらくして、モントリオールで行われたホッケーの試合をテレビで見ていたら、同じ旋律なのに歌詞がフランス語で驚いた。ただ、一曲通してフランス語歌詞で歌われるのは稀な模様。ケベック州でフランス語を使うのはかなり徹底しており、ケベック・シティでは明らかにフランス語が第一言語で、子供から大人までフランス語で話していた。モントリオールの会社がプレゼンに来たときも、大学の人間に対して話すときは英語なのに、中の人同士で話すときは完全にフランス語だった。また、図書館内にもフランス語を第一言語とする人もいて、普段は完全に英語で仕事しているのに、個人で利用してるiPadの表示言語はフランス語の人も。移民も多いこの「国」のアイデンティティは何だろうというのは、最後まで疑問だった。

冬の寒さは想定内なので、ここにはいれません。ただ、この寒さは年によるそうです。日本も一部の地域が大雪で大変なように、今年は彼らにとっても「寒くて雪の多い冬」だったとか。しかもトロント人は案外雪に慣れてなくて、それを他の地域の人がお笑いのネタにしているというのも知りました。あと、全体的に光量が少ない気がするんですよね。青い目の彼らには、東京レベルの光はまぶしすぎるのか?最初、店が暗くて外から見ると開いてると思えなくて困りました。この暗さに慣れてしまったので、きっと東京帰ったらビックカメラとかまぶしすぎると思うかも。そのせいなのか、光で充電する私の腕時計、最近遅れるようになってしまいました。完全防寒のコートの下に着けてるせいもあると思うんですが・・・。

帰ったら、レストランのレシートにチップを上乗せしたり、消費税を13%計算しないように注意しないと。そして左側通行も。何しろ自宅の電話番号を忘れてましたからね。

こっちでいろんな人に会って、ここ1週間(今週も)毎日のように誰かとお別れ会なのですが、トロントの人たちは最初から最後まで本当に親切でした。それは知り合った人ばかりでなく、みんなが文句を言うTTCの人とか、普通にその辺にいる人も含めて。トロントのスカイラインがどんなに変わっても、彼らの親切さは変わらないでいて欲しいなあと思います。

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