2011年2月28日

東京ゲートブリッジつながりました

初めて東京ゲートブリッジ(当時はまだ仮称の東京港臨海大橋と言われていた)を見たのは、2009年の4月でした。引っ越したあと、自転車を買ってちょっと遠出をしようと若洲海浜公園まで行ったら、なんかすごい場所にすごい大きな橋をつくろうとしていると気づいたのが最初でした。

あれから約2年。橋は少しづつ橋桁が渡されて、最後の中央の橋桁が渡されることになりました。本当はもう少し早く工事される予定だったので、私は見られないと思っていたのですが、何かと縁のあったこの橋、私の帰国を待っていたかのように、帰国翌日にその工事が行われることになったのです。

6時20分頃着いたときには、すでに橋桁は釣り上げられ、徐々に中央に移動するところでした。






国土交通省関東地方整備局の人たちが、テントを設営し、工事の概要を説明(しかし、おそらく土木工事の専門家と思われる彼の説明は、日本語とは思えない単語が多く、難しかった)し、パンフレットを配布されていました。自転車で通れますか?って聞いたら、「将来的には通れる予定です」と言われました。その時はそれ以上つっこまなかったので、「将来的」というのは、開通後すぐは無理なのかというのは不明です。歩道のみ自転車通行が可能なのか、それとも車道が軽車両も通行可なのかも気になります。もし車道も軽車両通行可になったら、都心から最も近いヒルクライム練習場になりそうです(笑)。上りもつらいけど、下りもかなり怖いと思うんですが、景色は最高でしょうね。

昨日はマラソンデーで、あまりもたもたしていると家の周辺の道路が閉鎖されてしまう危険があったので、橋桁がほぼ中央に移動した時点で帰ってきました。



開通は今年末または来年頭だそうです。

[movie]キッズ・オールライト

原題: The Kids Are All Right
監督: リサ・チョロデンコ
出演: アネット・ベニング、ジュリアン・ムーア、マーク・ラファエロ、ミア・ワシコウスカ、ジョシュ・ハッチャーソンほか
2010年/アメリカ/104分/カラー

レズビアンカップルのニックとジュールズは、ドナーから精子提供を受け、それぞれが1人ずつ子供を産み、少し変わった形ながら4人家族で仲良く暮らしていた。カレッジへの入学が決まり、娘のジョニが家を出ることが決まった夏。息子のレイザーが父親と戯れる友人を見て、突然父親に会いたいと言い出す。ジョニは母親たちの部屋からドナーに関する情報を得て、2人で父親に会いに行くが・・・

向こうにいったときはすでに公開が終わっていて、日本に戻ってから見ようと思っていた作品ですが、たまたまアカデミー賞発表直前に国際線飛行機に乗ったからか、入ってる映画がことごとくアカデミー賞関連で、この映画も入ってたので「ラッキー」と思って観ちゃいました。変わった形の家族を持ちながら、愛ある家庭で育った子供たちが、父親を見つけたらそのバランスにちょっと亀裂が入っちゃって・・・という物語ですが、ラストのジュールズの「演説」がすごくよかった。飛行機の中で、映画見ながらボロボロ泣いてる超変な人になっちゃいましたが、観てよかったと思った映画です。題名の意味は「家族とは、形が決まっているものじゃない」ことを子供の面から言ったもだと私は読み解いたのですが、どうでしょう。カナダに行って、ゲイが思っていた以上に市民権を得てることに結構驚いたのですが、それでもまだ彼らに対する偏見は根強く、だからこそこういう映画が作られるんだろうなあと思います。設定が変わってるという部分ではなく、家族の絆を考えるという意味で、素晴らしい映画です。日本での公開は、4/29〜。おすすめです。

2011年2月26日

帰国します

トロント滞在最終日。

海外で6ヶ月生活してよかったと思うのは、自国に対して否定的意見しかない国内から離れられて、日本の良い面を見られたこと、そして、「資源が無い」って言われるけど、日本を囲んでいる海がどんだけすごい「資源」か気づいたことかな。

さようならトロント




Now, Heading back to TOKYO, and Going back to the Reality.

2011年2月22日

トロント滞在6ヶ月

6ヶ月滞在したトロントとも、今週末でお別れです。週間天気予報を見てると、ああもうその時はここにいないんだなあと思うと寂しいです。改めてCNタワーを見ると、あの形はとても美しいんですよね。東京タワーもスカイツリーも嫌いじゃないですけど、CNタワーの凛とした佇まいが私は好きでした。

いくらインターネットが発達し、地球の裏側で起こっていることを瞬時に知ることが出来たり、地球の裏側の人とリアルタイムで話したり、手紙(メール)のやりとりをしたりできるとは言っても、言葉が異なり、文化が異なり、気候も政治システムも歴史も全く違う国で生活すると、やっぱりカルチャーショックというものは多々あります。ヨーロッパ諸国や、中国を旅行したときとは、ちょっと違う意味でのカルチャーショック。カナダは、少なくともトロントは、ここに来る前に漠然とイメージしていたカナダとは全く違う国でした。中学の日本史レベルの内容なら、数週間でカナダ史全部をやってしまえるほど歴史が浅い国ですが、知れば知るほど不思議で、かなり面白い国です。ある方が「社会主義国っぽい」と言ってましたが、なるほど私が思った不思議さは、そこにあるのかもしれません。

私があれこれ驚いたという話をするので、「何か驚いたことはある?」ってよく聞かれてたんですが、私がトロントでの6ヶ月の中で驚いたことベスト10は、

1.トロントの人口の約半分が外国生まれ。
Visible minority(統計上の定義は「先住民族ではなく、かつコーカソイドもしくは白人ではない人」を指す)で最も多いのが10%以上いる南アジア系。次が同じく10%を超える中国人。この国の人口の100倍近い人間がいる中国は、やろうと思えばこの国ごと乗っ取ることだって可能じゃないかしらんとも思う。visible minorityではなくとも「私の祖父はどこそこから来た」と言う人も多く、バイリンガルも多い。また、日本人はできないが、他の国は条件によって二重国籍を認めていて、カナダ人でありながら、他の国籍を持っているという人も相当数いる(出身国に帰るときは、そのパスポートを使うとか)。TTC(トロント市交通局)には20ヶ国語もの多言語電話案内があるが、残念ながら20ヶ国語もの言語の中に、Twitter上では第2言語のはずの日本語は含まれない。

2.レジ袋税
トロントのお店は、たとえSearsやthe Bayのようなデパートでもビニール袋は5セントとられる。レジで大抵(do) you need a bag?と聞かれる。買い物バッグ比率は高く、「買い物バッグ」という商品カテゴリが存在する(私はIndigoで買ったのを愛用していた)。ただ、たった5セントなので、たまに面倒臭くなるとビニール袋お願いしますって言ってしまう。no bag, no air miles(スーパーでつくポイント。日本のTポイントに近い), pay by VISA[without chip]が合言葉。

3. リンゴや洋梨はまるかじりが原則
丸い果物をカットしない。そのまま丸齧りする。最初の週、会議中にリンゴを丸ごとかじっている人がいるのを見て衝撃を受けた。数週間後、ある会合でランチボックスの中にサンドイッチとリンゴ1個が入っていたとき、私は困って、リンゴはそのまま家に持って帰って切って食べた。まるかじりは最後までできなかった(だって皮がピカピカなんだもん)。スーパーでいろんな種類のリンゴの説明札には「調理用」のほか、「まるかじりに最適」というのがある。ヒルトン・ニューヨークの朝食ビュッフェにカットされていないリンゴがあったとき、これはもうどんな階級の人でも丸ごと齧るんだということを実感した。北米人は歯が丈夫。

4.トロントにはゴミの焼却場がない。
そもそもゴミを焼却せず、アメリカに運んでいた(12月まで)。収集は週に1回。ただし、ごみ集積場はなく、軒先までゴミ収集車が集めに来る。週3回の燃えるゴミ収集日(つまり燃えないゴミと資源ゴミの日は別にあった)が1日減らされそうになったとき、大反対運動が起きた某市のことを考えると、カナダ人は辛抱強いと思う。日本は市によっては毎日収集があると言ったら、「なんでそんなに必要なの?」って聞かれた。

5.飲酒のルールがものすごく厳しい。
鉄道でワンカップ大関とかありえないし、公園で酒盛りなんてもってのほか、ビアガーデンの出口に「ここから先は飲酒不可」の看板があったりする。カナダに来た翌日、家主さんとそのお友達とコンドミニアムの庭でバーベーキューしたとき、ワインが出てきた記憶があるんだけど(その時はこんな飲酒規制が厳しいとは思ってなかったので、不思議にも思わなかった)、あれはよかったのか?また、酒類を売れるのは州政府公認の酒類販売店(LCBO)だけ。私は酒飲みじゃないけど、道端の自販機やコンビニで酒類が買える国から来た人間から見ると、これは厳しすぎでしょって思うときが結構ある。ただ、公道で明らかな酔っ払いに出会うことはまず無い。少なくともダウンタウンでは。

6.牛乳が違う。
基本成分調整乳のみで、乳脂肪分の割合が違う複数のバリエーションがある。売れ筋はスキムミルク、もしくは乳脂肪分1%(Dairy cows by Census Division, 1996)。他の人があまり買わない3.25%(それでも日本で成分無調整なら、通常3.5%以上だから、やや薄い)を私は常用していた。でも成分調整乳を常用したのは、学校を出た後初めてだと思う。1%とか、スキムミルクとか、そのままの"牛乳"は見た目が薄すぎて飲めなかった。ちなみにパックはジュースも含めて2リットルがディフォルト。または3本入ったバッグがある。いずれにせよ1リットルだと割高なうえ、3ドル以上する。飲料は軒並み高く感じた。

7. 健康志向が強い。
牛乳の乳脂肪分が低いのも同じ方向性。そのせいか、ベジタリアン率が高い(んじゃないかと思う)。私が北米人に比べると痩せっぽちだからか、「食べられないものはないか、例えばベジタリアンとか?」とよく聞かれた。私が避けたいのは「蕎麦」なので、トロントの通常の食べ物にはまず入っていないだろうそれを、しかも英語で説明するのも面倒臭く、「何でも食べられる」と返していた。ベジタリアン専門のレストランはともかく、ハンバーガー屋にまで「ベジタリアンなんとか」とかいうメニューがあるのを見ると、何か間違ってる気がする。同じく間違ってると思ったのは、「カフェインレスのエスプレッソ」(どう考えても自己矛盾)。

8.地下鉄やバスは何でも乗ってOK。
自転車(もちろん分解しろなんて言われない)、犬猫などのペット類もOK。盲導犬じゃなくてもいい。座席に当たり前のようにおすわりしている犬をみて最初はぎょっとしたが、そのうち慣れた。ごく稀にリードを引きずった犬がかけずり回り、飼い主以外の人に愛想を振りまいていたりする。ちなみに雪道は犬の足にも冷たすぎるのか、それとも凍結防止に撒く塩がよろしくないのか、冬は大抵の犬が靴(らしき布みたいなの)を履いている。

9. 日曜日・祝日は書き入れ時ではなく、絶対的な休日。
お店は原則休みか短縮営業。24時間営業のスーパーが、祝日は休みで、祝日明けの午前0時に開くと書かれていたとき、ものすごく悲しかった。たとえ中心街のショッピングモールであっても、クリスマスは全市内休業状態。私の心のオアシスは、大晦日も元日も、短時間営業ながら開いていたBloor通りの"Tim Hortons"(しかもここは大学の無線LANが拾えたので、休業期間中は入り浸っていた)。

10. 国歌なのに英語バージョンとフランス語バージョンがある。
初めて"O Canada"を聞いたときは、大リーグの試合のときだったので、当然英語バージョンだった。しばらくして、モントリオールで行われたホッケーの試合をテレビで見ていたら、同じ旋律なのに歌詞がフランス語で驚いた。ただ、一曲通してフランス語歌詞で歌われるのは稀な模様。ケベック州でフランス語を使うのはかなり徹底しており、ケベック・シティでは明らかにフランス語が第一言語で、子供から大人までフランス語で話していた。モントリオールの会社がプレゼンに来たときも、大学の人間に対して話すときは英語なのに、中の人同士で話すときは完全にフランス語だった。また、図書館内にもフランス語を第一言語とする人もいて、普段は完全に英語で仕事しているのに、個人で利用してるiPadの表示言語はフランス語の人も。移民も多いこの「国」のアイデンティティは何だろうというのは、最後まで疑問だった。

冬の寒さは想定内なので、ここにはいれません。ただ、この寒さは年によるそうです。日本も一部の地域が大雪で大変なように、今年は彼らにとっても「寒くて雪の多い冬」だったとか。しかもトロント人は案外雪に慣れてなくて、それを他の地域の人がお笑いのネタにしているというのも知りました。あと、全体的に光量が少ない気がするんですよね。青い目の彼らには、東京レベルの光はまぶしすぎるのか?最初、店が暗くて外から見ると開いてると思えなくて困りました。この暗さに慣れてしまったので、きっと東京帰ったらビックカメラとかまぶしすぎると思うかも。そのせいなのか、光で充電する私の腕時計、最近遅れるようになってしまいました。完全防寒のコートの下に着けてるせいもあると思うんですが・・・。

帰ったら、レストランのレシートにチップを上乗せしたり、消費税を13%計算しないように注意しないと。そして左側通行も。何しろ自宅の電話番号を忘れてましたからね。

こっちでいろんな人に会って、ここ1週間(今週も)毎日のように誰かとお別れ会なのですが、トロントの人たちは最初から最後まで本当に親切でした。それは知り合った人ばかりでなく、みんなが文句を言うTTCの人とか、普通にその辺にいる人も含めて。トロントのスカイラインがどんなに変わっても、彼らの親切さは変わらないでいて欲しいなあと思います。

2011年2月19日

日本未公開映画と、帰ったら見ようと思うもの

トロントでは本当に映画をたくさん観ました。思ってたよりも映画は安くないんですが、それでも為替レートを考えると、一般料金でも1000円くらい。レインボー・シネマでは、火曜日は全作品5ドルという破格料金で上映もされてます。旦那に「映画館に住めば?」って言われるくらい、映画館が好きなので(しかも映画館は日本もカナダも変わらない!)、映画館は私の心のオアシスでした。私のお気に入りの映画館は、TIFF Bell Lightbox。もっと早くに行けばよかったと思うくらい、かっこいい映画館でした。シネコンでも劇場でもなく、映画博物館みたいなところなのですが、新作も上映されています。Lightbox内のリサーチライブラリーにも、仕事で(半分趣味で)見学に行ってきました。ただ、TIFF(Toronto International Film Festival)が開かれて、いろんな国の映画が上映され、IMAX本社がある場所なのに、そして映画館自体も決して少なくないのですが、案外映画館は空いてます(多分東京が異常なんですが)。

そろそろ映画館で見る予告編も、帰国後に上映される映画ばかりになってしまいました。気になっている映画は以下のとおり。

英国王のスピーチ(日本公開 2/25)
これは日本公開が決まってて、帰国後に観られそうだったので、日本語字幕で見ようと思って観なかった作品。帰ってから見るのが楽しみです。

キッズ・オールライト (日本公開4/29)
こっちではすでに終わってたんですが、結構話題だったんですよね。ゲイ・カップルの母親(つまり2人の母親で、父親なし)を持つ子供たちが、精子提供者の父親を探して・・・というおはなし。

パイレーツ・オブ・カリビアン4: 生命の泉 (日本公開5/20)
3Dで楽しみにしている映画のひとつ。見る前に前作を復習しないと。

エンジェル・ウォーズ(原題: Sucker Punch 日本公開4/15)
これはまじすごそう。なんか世界観が。ドラゴンボールと、紀里谷版キャシャーンを合わせたような感じ。予告編見て、全編見たいと思った。

Cowboys & Aliens(日本公開9/17)
おバカ映画のかおりが画面全体から漂ってきて、ものすごく期待させる。だって、エイリアンvsカウボーイだよ、戦力差ありすぎ。ライフルと馬でエイリアンと闘うの?(笑) しかもハリソン・フォードでてるし。絶対3Dで見る。

トランスフォーマー3(日本公開7/29)
これも3Dで見たい。

The Way Back (主演: エド・ハリス)
シベリアの強制収容所から逃げ、インドへとたどり着いた囚人たちのおはなし。「強制収容所を出てから」がメイン。映像すごそうだなーと思ったので。

こっちで見た映画で、日本未公開映画の感想は以下のとおり。『サンクタム』以外は、日本で(いつ)上映されるのか不明。個人的には、いちおしは"Incendies"。トロント国際映画祭でベストカナダ映画に選ばれ、アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされてますが、TIFFだけでなく、2010年のベストカナダ映画の呼び声高い、力のある作品です。是非日本でも上映してもらいたいと思います。アメリカでの公開も4/22からなので、まだ先かなあ。まずは外国語映画賞獲得からですかね。"Fair Game"は上映するとしたら、去年だったよなあと思うんですが・・・。"Berney's version"は明らかに単館系。他の2本は、主演が日本でも有名だから、どこかが配給してくれそう・・・と願います。

Incendies(カナダ映画、アカデミー賞外国語映画賞ノミネート)
サンクタム (製作総指揮: ジェームズ・キャメロン, 日本公開: 4月22日)
Berney's Version(主演: ポール・ジアマッティ)
The next three days(主演: ラッセル・クロウ)
Henry's Crime (主演:キアヌ・リーヴス)
Faster(主演: ドゥエイン・ダグラス・ジョンソン(ザ・ロック))
Fair Game(主演: ナオミ・ワッツ)

あと帰ったら絶対見ようと思っているのが、『インクレディブル・ハルク』。この映画、全面的にトロントで撮られてて、しかもトロント大の中もたくさん出てくるらしいのです。「TIFFでエドワード・ノートンを見た」という話をしたとき、「ああ、ハルクの人でしょ」って言われて、私の中ではノートンは『真実の行方』とか『アメリカン・ヒストリーX』とか『ファイト・クラブ』の人だったので、私自身のヒアリングの問題か、私のEdward Nortonの発音が悪くて別の人と間違えられたのかと思ってたんですが、違ったんです。トロントの人にとっては、エドワード・ノートン=ハルクだったんです。ずーっと後になって「エドワード・ノートンは、ハルクの実写版でハルクを演じてて、しかもその映画はトロントで撮られたんだ」という話を聞いて、ああ、そういう事だったのかと思いました。私の見る映画ラインナップには引っかからない系統の映画だったので、全く記憶にないのですが、もちろん日本でも上映されてます。予告編見ただけで「うあーこれGersteinの書庫だよ」って分かるぐらいトロント大そのもので撮られてるのに、なんとDVDが図書館に所蔵されてなかった(T_T)。帰ったらDVD探します。

2011年2月14日

[movie]灼熱の魂

原題: Incendies
監督: デニス・ヴィルヌーヴ
原作: ワジディ・ムワワッド
出演: Lubna Azabal, Mélissa Désormeaux-Poulin, Maxim Gaudetteほか
2010年/カナダ映画/140分/カラー

母が亡くなった。家族ぐるみの付き合いをしていた母の雇用主から渡された遺言には、娘のジャンヌには2人の父親を探し封書を渡すようにと、息子のシモンには兄を探し封書を渡すようにと述べられていた。父は戦争で死んだと告げられ、そして兄の存在を全く知らなかった2人は驚愕し、混乱する。シモンは兄探しを拒否したが、ジャンヌは彼女のパスポートから、中東へと向かう。

カナダ映画ですが、フランス語です。なので、アカデミー賞も「外国語映画賞」にノミネートされてます。トロント国際映画祭で非常に高い評価を得、予告編を見ても面白そうと思っていたのですが、英語"字幕"というのに躊躇してたんですよね。結局は「セリフが英語」よりも理解しやすかったかなーという気がしました。言い争いがたくさんでてくるような映画ではないことも幸いだったかも。元はレバノン出身のカナダ人ワジディ・ムワワッドの戯曲で、日本でも『焼け焦げるたましい』という題名で上演されてるらしいです。

カナダには中東からの移民が少なくありません。それはアメリカが彼らの受け入れを躊躇しているから、というのが遠因でもあるようです。イラン人、イラク人、アフガニスタン人、頭に布を巻いてる人もたくさんいますし、アラビア語を第一言語とする人たちは全然珍しくありません。ESLで会ったアフガニスタン人は、「僕の国は、僕が子供の頃から戦争してて、こっちに来てからもう大分経つけど、まだ戦争してる」と言ってましたし、イラクから来たという女性は、妊娠していて、「本国では産めないからカナダに来た」と言ってました。イランから来たという男性は、国を出てからあちこちに行ったそうで、ドイツ語もフランス語も理解してましたし、「自分の国でタクシーに乗ってたとき、まっすぐ行けばいいのに曲がるから何だって言ったら、この先に地雷が埋まってるんだよって言われた」とか。彼らの見てきた「現実の世界」は、私にはとても考えられないような世界です。誰かが「彼らは生き残るために必死」と言ってたのを思い出します。私に分かる単語を考えてくれたんだと思うのですが、そのto surviveという言葉がものすごく印象に残ってて、実際彼らと話していると思うのは、彼らにとってlive=surviveなんだなということです。生きる意味とか目的とか、そんなことを考えるのは、平和ボケしてる証拠でしょうか。

引きで撮影された中東の街並みや、山の風景はものすごく美しいです。いつか絶対に行ってみたいと思うようなそんな場所なのに、近づくと砲撃で壊された建物、瓦礫の山が現れます。そんな中東へ行って、全く知らなかった母の足跡をたどり、そして死んだと思っていた父親と、存在さえ知らなかった兄を探すこの映画は、どこかゴダードの本を思い出させる、哀しい物語でした。カナダというか、ケベックらしい作品だと思いましたし、これは日本でも受け入れられるだろうと思います。アカデミー賞外国語映画賞の有力候補だそうなので、きっといつか日本でも公開されるでしょう。というか、公開して欲しいです。

今日映画を見たのは、昨年開館したばかりのTIFF Bell Lightbox。トロント国際映画祭のメイン会場として作られた場所で、普段はいろんな特集を組んで懐かしのメジャータイトルを上映したり、同じ監督作品をティーチイン付きで上映したり、いわゆる映画専門の博物館(美術館)として機能しています。東京にもこういう場所があったら通いつめちゃうなあと思うような、新しい形の映画館です。日本にもできるといいなあ。

2011年2月12日

ストリートカーのある風景

銀座で路面電車を走らせる計画があるそうですね。トロントには、地下鉄が2.5路線しかない代わりに、ストリートカーが縦横無尽に走っています。バスよりも早く、大量の輸送ができるので、トロント市民は基本的にストリートカーが好きです。でも秋に行われたトロント市長選挙で、ストリートカーが争点になりました。というのも、ストリートカーは維持費がかかりすぎ、車の通行の邪魔にもなるからです。ストリートカーを廃止し、バスに替えようと主張した候補者は、特に都市部の人間から激しいバッシングに遭いましたが、その考えを取り下げたことで当選しました。ただ彼が当選したことで、今でもストリートカーがどうなるのかは、トロント市民の関心のひとつです。

多分トロントのストリートカーは、かなり古いタイプのストリートカーだと思うのです。しかもこの都市は雪が降るので、夜に積もったりすると、坂を越えるような路線の場合は当然のように運休します(とんでもない理由で頻繁に運休するので、あんまり参考にはなりませんが)。また、最初に住んでいたところは、ストリートカーが走る道沿いのコンドミニアムでしたが、ストリートカーが通るたびに揺れました。ストリートカーは重量があるので、案外うるさくて、そして弱いのかもしれません。

私もストリートカーが走る都市の風景は好きなので、銀座を再び路面電車が走るのは楽しいだろうなあと思うのですが、ストリートカーの形式にもよりますけど、せっかく電線を地中化して、狭い空が少しでも広く見えるようにしたのに、またこんな風に蜘蛛の巣状の電線が走るのはいいのかなぁとか思ったりもします。そして、歌舞伎座の前を通る予定なのが心配。歌舞伎座の前は交通量がものすごく多い上に、タクシーが突然止まったりするので、自転車で通るときの難所のひとつなんです。晴海通りは自転車利用者もよく使う路線で、まず最初に自転車レーンを両側に敷設して欲しい国道なんですが、真ん中に路面電車が走ったら、さらに事態が悪化しないか不安です。

環状2号線ができたら、思い切って晴海通りの祝田橋〜晴海間の車道が自転車・路面電車専用道路とかにならないかなあ。晴海通り〜内堀通りまで全体から車を排除して、自転車と路面電車だけが走るようになったら、楽しそうじゃないですか?そういう思い切った政策ができれば、本当に「環境負荷」を考えてる都市になれると思うんですけど。

2011年2月5日

[movie]サンクタム

原題: Sanctum
監督: Alister Grierson
製作総指揮: ジェームズ・キャメロン
出演: リチャード・ロクスバーグ、リース・ウェイクフィールド、ヨアン・グリフィズ、アリス・パーキンソンほか
2011年/アメリカ/103分/カラー・3D(IMAX)

名の知られた洞窟探検家・フランクは、未踏の洞窟に挑んでいた。そこへ資金提供者のカールが婚約者のヴィクトリアと共に訪れる。フランクの息子ジョシュは二人を洞窟の最先端キャンプに案内するが、洞窟周辺を嵐が襲い、フランクとその仲間たち、カールとヴィクトリアは洞窟内に閉じ込められる。未踏の洞窟を抜け、無事外に出ることができるか。

「IMAXで見てこう」と思ってて、実際に観に行ってきました。そして、画面の中の彼らより先に、私がパニックになりそうでした。私は暗いところと狭いところが大嫌いなんです。この作品まさに全編「暗いところと狭いところ」で、しかも臨場感ありまくりのIMAX。「いやいや、バッテリーなんてどうでもいいから、電気消さないでよ」と思ったり、最初潜るシーンが出てきた時、思わず息を止めたのは私だけじゃないはず。そして、『アバター』見たときの感想に、「3D映画は奥行きがすごい」って書きましたけど、上から撮った場合は高さを感じるってことなんですね。底が見えない洞窟へ飛び降りるシーンとか、浮遊感がありました。たまに被写界深度が浅すぎで、ティルトシフトレンズで撮ったようなチープさを感じるのはご愛嬌でしょうか。この辺りが改善されれば、3Dももう少し完璧になるのかも。

ストーリーはあらすじの通りで、あまり意外性は無いと思います。でも「暗いところ狭いところ」が嫌いな私にとっては、めちゃめちゃ怖かったです(T_T)。初めて映画館でこの映画の予告編を見たとき、『アビス』を思い出したんです。『アビス』はジェームズ・キャメロンの映画の中でも好きな作品のひとつなんですが、それを期待して行ったら裏切られます。この映画は「ファンタジー」ではなく「スリラー」に分類される映画です。2時間どきどきしっぱなしでした。映画の中の誰が生き残るかなんてことじゃなくて、「お願いだから、この洞窟から抜けさせてくれ」って自分自身が願ってる感じ。次々新しい3D映画が出来ていますが、この映画は恐怖を増幅させるために3Dを効果的に使っているように思いました。かなりグロいシーンもあるので、そういうのが嫌いな方にはおすすめしません。でも生死が隣り合わせの洞窟探検や、暗くて狭いところのスリルを味わいたい方にはおすすめです。

日本では4月22日公開です。  東日本大震災により、公開が延期され、2011年9月16日公開。サンクタム 公式サイト

2011年2月1日

[travel]カナダの中のフランス「ケベック・シティ」

半年という滞在期間は当初十分時間があると思っていましたが、残りあと25日になってみると、全然半年が経ったという気がしません。あっという間に終わりが見えてきてしまいました。

ここは絶対行こうと思っていた都市のうち、最後まで残していたのがケベック・シティ。行くなら二度と行かないような真冬にしようと思っていたのですが、1月末にウィンター・カーニバルがあることを知り、それに合わせて行くことに。世界遺産にも登録されているこの都市は、北米唯一の現存する城郭都市で、日本で言えば京都みたいな雰囲気。建物なんかも保存することにこだわりを持っていて、マクドナルドさえこのハイソさ。



一方で、バリアフリーなんて言葉はありません。街の中心が崖の上に作られているために、上と下を行き来するのにはかなりの段数の階段を昇り降りする必要があります。そのひとつが有名な首折り階段。でも日曜日にパレードを見た後、ロウワータウンからアッパータウンへ昇る階段は、こんな段数ではありませんでした。途中で休憩したくらい。



もちろん上に登ってからも、うんざりするような角度の坂道が街全体に縦横無尽に走っています。坂道によっては急すぎて、道沿いの家の壁に手すりがついてます。ここの人たちは坂道発進が得意です(たぶん)。



というわけで、足腰にあまり自信の無い方にはおすすめできませんが、散歩するのが好きな方には絶対おすすめ。歩いているだけで楽しいです。こういう何気ない扉や窓がとっても好きなんですが、私。





1月に行こうと思う奇特な方におすすめなのが、夜の街歩き。多分クリスマスシーズンからこんな感じになるのだと思いますが、昔見た絵本の中の世界のようです。

普通に町中はもちろん



勝利のノートルダム教会のあたりも静かで綺麗です。



フェアモント・シャトー・フロントナックの裏にある公園も絶景ポイント(注:雪道注意。日本の滑り止めのない靴で登ろうとしないこと。この塀の上の部分は散歩道になっていますが、反対側はシタデルとの壁の間に大きなギャップがあり、一部雪庇状態になっていて縁が分からない部分もあります。もちろん日本のように落下防止柵とかついていません。)



首折り階段に降りる道路の横にあるモンモランシー公園は、セントローレンス川の眺めが綺麗ですし、



旧港側の眺めは、ちょっと工場萌えな雰囲気でした。



プチ・シャンプランは有名なので割愛。アルバムには入っています。

ご飯は、Aux Anciens Canadiensが美味しかったなー。16時から17時半までは、すごくお得なコース料理があるので、お昼を調節して早めに行くのがおすすめ。17時頃にはもう満席になってました(この時期ランチはやってない)。また、カーニバルの会場などで売られてる、"Maple taffy"(雪の上で凍らせるメープルシロップキャンディー)は有名だそう。私も食べてみました。

また、アルコール販売の制限が厳しいオンタリオ州と違って、ケベック州ではどこでもお酒が売れます。メープルシロップ専門店に行って、フレーバー系のシロップを試食させてもらったとき「このオレンジみたいなのは?」と聞いたら、「これはアルコール入ってるけどいい?」って聞き返されましたし、カーニバル会場内にも、そして街中にも、氷でできたテーブルと椅子、そして氷のグラスで出てくる「氷バー」があちこちに出店してました。



2日目は、たまたまミニホッケー大会の始球式(ホッケーの場合はなんて言うんだ?)に来ていた動くボナム君に会ってから、彼に合計3度会いました。まるでストーカー。



そして、馬車が観光用交通機関としてあちこちで見かけます。街の中には馬どめ用の棒が。この写真を撮るとき、この馬がカメラにとっても興味を持って、鼻を押し付けようとするので大変だったんですが・・・。



1日目にやたらと写真に撮ったフェアモント・シャトー・フロントナックの見学ツアーに参加して、鉄道会社がこのホテルを作ったときは、まだケベックシティに駅は無かったとか、実は"D-Day"(カナダに来て、ノルマンディー上陸作戦が、彼らにとってものすごく重要な意味を持つことを、嫌というほど実感した)がここで決断されたとかを学び、一部の部屋とか、チャーチルが好んで使ったダイニングルームとか、建設以来改装されていないホール(下の写真)とかの建物内部を、可愛い男の子に案内してもらいました。しかし、ツアーから戻って外に出ようとしたとき、約120年の歴史を持つこの著名なホテル内のカフェの入口に、「係りの者が案内しますので、お待ちください」の札が、フランス語、英語そして日本語の三ヶ国語で書かれているのを見つけてしまいました。トロントではまずありえない光景です。日本人がここには沢山いるようです。そういえば、初日に空港からタクシーに乗った時も、初めて「中国人か?」ではなく「日本人か?」と聞かれました。



前にも書きましたが、カナダは英語・フランス語が公用語です。これは表向きはかなり徹底したレベルでの「公用語」で、公的な刊行物はすべて英仏バイリンガルです。でもトロントは完全に英語の街です。フランス語を聞くのは、日本で英語を聞くのと同じくらいのレベルだと思います。よっぽど中国語のほうが通じると思うくらいです。でもケベック、少なくともケベック・シティは、完全にフランス語圏でした。道路標識、地図案内、「出口」のサイン、カーニバルのパンフレット・・・ことごとくフランス語です。城郭内を含む周辺地域は、観光地なので英語も通じます。少なくともお店の人は得手不得手はあっても英語を話します。でも挨拶はすべてフランス語、ボナム君もフランス語で話してましたし、カーニバル会場内のイベントアナウンスもすべてフランス語でした。国の中でさえ2つの異なる言語をそれぞれを第一言語とする人がいるからこそ、移民が受け入れやすいということもあるのかもしれません。

というわけで、ちょっとだけフランスに行ったような気分になった旅行でした。もしケベック・シティに行かれるときは、トロントと両方に滞在して比べると面白いと思いますよ。またオタワはその中間で、どっちつかずなのが逆に面白いかも。バンクーバーとかはまた全然違ったりするのかな。