2008年2月21日

名誉毀損と表現の自由のあいだ

コーヒーチェーンランクで最下位 ベローチェ、講談社提訴(産経新聞)

うーん、これが通ったらもう表現の自由は終わりだろーと個人的に思う一例。裁判の行方が気になります。名誉毀損とかプライバシーの権利と、表現の自由が相反して裁判となる例は、法学部の学生じゃなくても知ってるような「宴のあと」事件や、「石に泳ぐ魚」事件などたくさんありますが、難しいですよねえ。今度はコーヒーチェーンランキングで最下位とされて怒っちゃった事件。

この裁判の行方が気になる原因のひとつとして、最近「ブログで辛口批評を書くのは名誉毀損なのか?」という話題がネットに流れたことがありました。最初は12月9日の日経新聞の記事(『辛口ブログ、店から「名誉棄損」――接客や味、事実書いた(弁護士さん相談です)』)。だったようですが、それを引用した記事のほうが話題になっている模様。ブログの辛口評価は事実でも名誉毀損(愉快痛快(^_^)奇奇怪怪(*_*;))。日経の記事では、弁護士の談として「料理や接客態度の問題は主観的な要素も大きく、公益性も低いので名誉棄損に該当する可能性が高い」となっています。料理をたべて「まずかった」とブログに書いても、名誉毀損にはならない(ナガプロ)という反論も出ているようですし、「行列のできる法律相談所」でも、慰謝料が取れる可能性は30%(うまいまずいを個人ホームページに書いただけでは慰謝料は取れないだろう)という結論みたいですけど。

巷には何かを良くも悪くも批評するブログは溢れているわけで、それは個人的な意見を聞きたいときに非常に役に立つ場合もあるし(Amazonの書評だってそのひとつですよね)、そんなのまで名誉毀損だの言われて会社の力で訴訟されてしまったら、個人は何も言えなくなってしまうでしょう!と思うのです。マスコミの提灯記事じゃ何も判らないし、近所のニッチなお店までターゲットにしてくれないから、皆個人の体験を求めてブログを検索するのです。口コミマーケティングという言葉が出来るくらい、その力を業界も認めてるわけですから。

今回はネットの個人ブログ(個人で発信するもので、信憑性も低いと判断しなくてはならないというのが、「行列」で慰謝料を取れない理由でもあった)ではなく、「おとなの週末」という雑誌記事です。ベローチェの主張として「個人の主観的評価であることを示す記載が目立たず、わかりにくい」と書かれていますので、その辺りが争点になるのかもしれません。逆に言うと「主観的な評価であること」が明示されてればOKってことなのかな?と思ったけど、そうすると最初の日経記事と矛盾するのですが・・・。それに、単に「うまい」「まずい」なんて小学生の作文でも書けるわけで、接客態度がどうだったとか、テーブルや椅子や雰囲気などでもいろいろ批評を加えますよね。それのほうが読み手としては情報の価値が高い(司法の判断で言う公益性はそういう意味ではないとは思いますが、広く考えるなら公益性と言えなくもない)と思うのですが、それをしちゃだめってことなのでしょうか?当然そういう記事にはいい面を持ち上げるものがある一方で、批判をするものがあっても良いと思うし、それこそが健全な言論だと思うのですが・・・。

ただベローチェはこの裁判によって、「おとなの週末」の一記事としてだけでなく、広く一般に「コーヒーチェーンの最下位だったんだって」という部分だけが宣伝されちゃった気がしますよね。「おとなの週末」の該当記事はネットでは見られないようですし。名誉毀損の裁判ってその辺りも難しいと思うんですけど。

いずれにせよ、司法の判断が気になります。頑張れ「表現の自由」、と私は思うのですが。

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