笛吹川温泉とワイン

 毎年11月3日に日比谷公園で行われる甲州ワインの解禁フェスティバルが、昨年に引き続き今年も流れてしまったので、11月末の休日にこっちから山梨に行ってきましたよ。まるき葡萄酒が経営する旅館に泊まって、ワインと料理と温泉を楽しむ旅。

突然行こうと思ったので、特に紅葉のシーズンとか一切関係なく宿が空いてる日で選んでしまったのですが、今年は紅葉が思っていた以上に遅く、まだ恵林寺や宿の紅葉は赤がとてもきれいでした。


坐忘は笛吹川沿いに経つ旅館で、pH9.1というアルカリ性の単純泉。一つのお風呂はめっちゃ広い庭園の池のような露天風呂、もうひとつは細長い洞窟みたいになった露天風呂があって、毎日男女入れ替えでどちらも楽しめます。

お昼くらいに塩山の駅について、ほうとう食べたんですが、そこのほうとう屋も自家製味噌でした。夕食もお味噌を使った料理も。このあたりお味噌が独特で料理にあえて使うんだなということを発見。焼き物のお肉は、味噌漬けにした豚肉を杉板で挟んで焼いたものでした。茶懐石で、最後にはお抹茶登場。もちろんフルーツ県の山梨ですから、果物も豊富。この時期ならではの柿なますもよかった。

ワインは、坐忘オリジナルで、数量限定でしか作っていない坐忘ルージュと、まるき葡萄酒の貯蔵庫で保管されていた白いワインを合わせて1瓶にするラフィーユトレゾワリザーブド甲州を出してもらいました。坐忘ルージュは、こういう「とっておき」にありがちなフルボディではなく、かなりライトな味わいのワイン。翌日ワイナリーを案内してもらったのですが、まるき葡萄酒の特徴として、あえて軽い味わいにして、和食に合わせられるようにしているのだとか。一方のリザーブド甲州のほうはデザートワインと言っても良い甘さととろみのあるワインで、こちらは少し強い味噌料理とかに合わせると良いのだそう。これらはさすがに日比谷公園の新酒フェスでは出てこないので、現地ならではの面白さかも。お料理とも合いました。

翌日はまるき葡萄酒まで連れて行ってもらい、ワイナリーを見学(午後と午前とあるのですが、午前からワイナリーに試飲しに行くアホはあまりいないらしく、ラッキーなことにプライベートツアー。宿泊者限定で無料)。



ぶどう園で雑草を食べてくれる羊はれっきとした従業員

最近は海外からステンレス製のタンク貯蔵庫が入ってきていて、様々な大きさのものが置かれていました。これらは温度管理が楽で、一定の味を生産することができるので、基本的なワインはこれで作るのだそう。一方で、まるきには樽につめてるものもあり、こちらはやっぱりギャンブルなんだとか。大ヒットが出る一方で、だめになってしまうものも。ウィスキー貯蔵庫を見慣れてる側からすると、チャーされていないワイン樽はとてもエレガントな感じ。そして何十年も保管し、アルコール度数も非常に高いウィスキー樽と違ってワイン樽はせいぜい1年だそうなので、アルコール臭もマイルド。

そして瓶で熟成させてる蔵にも案内してもらいました。面白いのは、ここで熟成されてるものの多数が白ワインということ。普通何年もの、というと赤のイメージがあるのですが、白ワインをあえて保管してるんだそうです。前日に飲んだ白ワインを思うと納得。最近ではオリンピック開催記念として、最初の東京オリンピック(1964年)のものを出したんだとか。

そういった貯蔵品を1本まるまる出すと、ぶどうの収穫年がわかるいわゆる「ヴィンデージワイン」になって1本数万という値段で売られます。一方で、いくつかブレンドさせて、昨日飲んだようなリザーブドとして出しているものは、わりかしリーズナブルな値段です。

白赤、熟成方法の違い、新酒とリザーブドの違いなどを説明してもらいつつ試飲させてもらい、結果として樽熟成の赤をお土産として買ってきました。もしかするとまるきの赤はワイン好きの方には「つまらない」と言われるような味かもしれないと言ってましたが、それほどお酒を飲まない私には結構好きな味。来年新酒解禁フェスが開催されたら、和食に合わせるという説明を思い出して違った視点で飲んでも面白いかなと思いました。

富士山にお別れしつつ(東京でも富士山見えるけど)、酔っ払ったままかいじで帰ってきました。



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