2011年2月14日

[movie]灼熱の魂

原題: Incendies
監督: デニス・ヴィルヌーヴ
原作: ワジディ・ムワワッド
出演: Lubna Azabal, Mélissa Désormeaux-Poulin, Maxim Gaudetteほか
2010年/カナダ映画/140分/カラー

母が亡くなった。家族ぐるみの付き合いをしていた母の雇用主から渡された遺言には、娘のジャンヌには2人の父親を探し封書を渡すようにと、息子のシモンには兄を探し封書を渡すようにと述べられていた。父は戦争で死んだと告げられ、そして兄の存在を全く知らなかった2人は驚愕し、混乱する。シモンは兄探しを拒否したが、ジャンヌは彼女のパスポートから、中東へと向かう。

カナダ映画ですが、フランス語です。なので、アカデミー賞も「外国語映画賞」にノミネートされてます。トロント国際映画祭で非常に高い評価を得、予告編を見ても面白そうと思っていたのですが、英語"字幕"というのに躊躇してたんですよね。結局は「セリフが英語」よりも理解しやすかったかなーという気がしました。言い争いがたくさんでてくるような映画ではないことも幸いだったかも。元はレバノン出身のカナダ人ワジディ・ムワワッドの戯曲で、日本でも『焼け焦げるたましい』という題名で上演されてるらしいです。

カナダには中東からの移民が少なくありません。それはアメリカが彼らの受け入れを躊躇しているから、というのが遠因でもあるようです。イラン人、イラク人、アフガニスタン人、頭に布を巻いてる人もたくさんいますし、アラビア語を第一言語とする人たちは全然珍しくありません。ESLで会ったアフガニスタン人は、「僕の国は、僕が子供の頃から戦争してて、こっちに来てからもう大分経つけど、まだ戦争してる」と言ってましたし、イラクから来たという女性は、妊娠していて、「本国では産めないからカナダに来た」と言ってました。イランから来たという男性は、国を出てからあちこちに行ったそうで、ドイツ語もフランス語も理解してましたし、「自分の国でタクシーに乗ってたとき、まっすぐ行けばいいのに曲がるから何だって言ったら、この先に地雷が埋まってるんだよって言われた」とか。彼らの見てきた「現実の世界」は、私にはとても考えられないような世界です。誰かが「彼らは生き残るために必死」と言ってたのを思い出します。私に分かる単語を考えてくれたんだと思うのですが、そのto surviveという言葉がものすごく印象に残ってて、実際彼らと話していると思うのは、彼らにとってlive=surviveなんだなということです。生きる意味とか目的とか、そんなことを考えるのは、平和ボケしてる証拠でしょうか。

引きで撮影された中東の街並みや、山の風景はものすごく美しいです。いつか絶対に行ってみたいと思うようなそんな場所なのに、近づくと砲撃で壊された建物、瓦礫の山が現れます。そんな中東へ行って、全く知らなかった母の足跡をたどり、そして死んだと思っていた父親と、存在さえ知らなかった兄を探すこの映画は、どこかゴダードの本を思い出させる、哀しい物語でした。カナダというか、ケベックらしい作品だと思いましたし、これは日本でも受け入れられるだろうと思います。アカデミー賞外国語映画賞の有力候補だそうなので、きっといつか日本でも公開されるでしょう。というか、公開して欲しいです。

今日映画を見たのは、昨年開館したばかりのTIFF Bell Lightbox。トロント国際映画祭のメイン会場として作られた場所で、普段はいろんな特集を組んで懐かしのメジャータイトルを上映したり、同じ監督作品をティーチイン付きで上映したり、いわゆる映画専門の博物館(美術館)として機能しています。東京にもこういう場所があったら通いつめちゃうなあと思うような、新しい形の映画館です。日本にもできるといいなあ。

2 件のコメント:

enjoypolo さんのコメント...

Why is Japan always lagging behind great independent movies (and movies in general) ! Really frustrates me. kono eiga totemo mitai !

hiroe さんのコメント...

Hi enjoypolo, Thank you for your comment. I agree. This movie was definitely great and I think it must be screened in Japan.

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