屋久島と桜島

 


コロナで海外に行けないから、行ってない都道府県を潰していくシリーズ第2弾、鹿児島県。残りは山口、宮崎、長崎、熊本とあと4県になりました。一度行ってみたかった屋久島に行くことにして、3月の連休に休みをくっつけて3泊4日の屋久島・鹿児島旅行です。

珍しく行きに飛行機トラブル。天気図見てたときから「ああやばいかもなあ」と思ってたけど案の定鹿児島-屋久島の便が欠航に。鹿児島空港でJALのカウンターに行き相談の結果、次に乗れる便が18時近いというので高速船に振替えました。鹿児島市内へバスで行き、高速船のチケットをゲットしてから天文館でお昼。天文館をうろうろしてたら、山形屋の建物が本当に素敵で、何枚も写真撮っちゃいましたよ。


高速船は条件付きではありましたが、無事屋久島につきました。鹿児島港で宿に連絡したら、普段はやっていない宮之浦からの送迎をしてくれるというので、それに乗ることに。神対応。

ちなみに高速船が鹿児島を出るころには低気圧は抜けて、徐々に日がさしてくる天候でしたが、ものすごい強風で高速船はあらゆる方向に木の葉のように揺れました。私も旦那もなんだか平気だったのですが、乗客には死人のようになってる人もちらほらいました。

屋久島の宿はsankara Hotel & spa。リゾートホテルなんですが、海に向かう傾斜地という立地や、全体の飾り付けにサムイ島のトンサイベイを思い出しました。無料ヨガクラスはなかったのがちょっと残念(あったのかしら)。宿の人に「プール入ります?」って聞かれたんですが、この時期に(到着した日はたしかに20度を超える気温で、4度だった東京から比べると相当暖かったのですが)プール入れるんですか?!って逆に聞き返しちゃいました。でも入ってた人いたらしいですよ。すごい。ただ、プール脇にサウナがあって、これ入るためだけに水着持ってきてもよかったかも、とも思いました。裏山が歩けるようになっているということなので、靴慣らしに散歩しました。


到着日はちょうど満月だったのですが、海にムーンロードができてて幻想的でした。


夕食はフレンチなのですが、前菜は複数ある中から2品、メインは魚か肉か野菜かで選べて、デザートはずらりと並ぶ中から好きなだけ選べる、という選択式で、1日目は魚、2日目は肉(2人ともそれぞれ違うものを)を選んだので、特に飽きることもなく美味しかったです。2日目は地元で取れたという牡蠣も入ってきて(そろそろ牡蠣を食べるにはギリギリか、と思いましたが)、私は生で、旦那は焼きで食べました。


翌日は朝からガイドさんに迎えに来てもらって白谷雲水峡から太鼓岩へのトレッキングです。

道は階段が設置されているところと、こういう木の根が階段代わりのところとある

私の中で屋久島ってパラオみたいなジャングルをイメージしてたんですけれど、全然違いました。そもそも花崗岩でできた島で、土がほとんどないのだそうです。だから岩を覆う苔も奥入瀬とかとは違ってて、あと森の奥を見ても行く手を阻む下草類があんまりなくて、案外禁断の森的な印象が薄いと思ってしまいました。3月という時期や、天気が良かったのも一因かもしれません。そう、この日もお天気よかったのです。天気予報では曇りだったのですが、1900mレベルの山が島の中央に複数そびえる屋久島は、天候がものすごく気まぐれ。土地の人は1ヶ月に35日雨が降ると言うそうですが(そして、その言い回しを広めたのは林芙美子だそうですが)、この地域は晴れてるのに、こっちには分厚い雲なんてことも多いみたいで、たまたま私達が歩いているところはとても良いお天気でした。

前日の雨の名残はあちこちに見られて、スギゴケから落ちる雫に光が反射してとてもきれい


この時期に春の訪れを告げるというオオゴカヨウオウレンという白い可憐な花(白い部分は萼だと聞きましたが)も可愛らしい


途中にあるフォトスポット、苔むす森は以前はもののけの森と言われてたそうなのですが、大人の事情で苔むす森に変更されたのだとか


名前のついている杉がいくつかあります。これは女神杉。我々の感想としては、女神というよりメデューサだなと。


杉の途中から生えて、杉に巻き付いて上へ上へと伸びる木(アコウとか、ヤマグルマだそうですが)が結構あるのですが、芽吹くときに鹿などに食べられないように高いところから伸びようとするのだそう。成長するにつれ巻き付きが厳しくなって宿主を殺してしまうこともあり、「シメ殺しの木」とも言われるのだとか。


屋久島の杉は本土の杉よりも成長が遅く、そのために目がつまってて強度があり、油分が多くて水に強いのが特徴なのだそう。屋久杉を名乗れるのは、樹齢1000年以上のもの、それ以外は小杉(あるいは地杉)と言われてしまうのだとか。今回のルートの中にもいくつか屋久杉があって、その一つの七本杉。こちら側は苔多めなのですが、逆側は日が当たるので結構白いのが特徴。


腐りにくいので、倒れたあとも残ってる物が多く、人間が十分入れる大きさのウロもよく残ってます。


3時間ほど歩いて、太鼓岩へ到着。意外と大丈夫でした。普段「2駅なら歩けるな」と思う東京人なら問題ない距離とレベルです。それにガイド付きだと、単なる森でもいろんな説明をしてくれるので、それを聞きつつ質問しつつ歩いているとあっという間でした。

残念ながら九州最高峰(!)の宮之浦岳(標高1936m)は雲の中。ちなみに九州の高い山ベスト8はすべて屋久島にあるとのこと。森深い島、という私の勝手なイメージは完全に間違いだったことを学びました。この絶海に突然現れる極端な高低差が前述の通り気まぐれで雨の多い気候を生み、そして沖縄から北海道まで、日本の植生が一つの島ですべて見られるという特異な環境を作っているのだそうです。

ガイドさんに「お二人なら縄文杉日帰りも可能」「宮之浦岳も登れる」というお墨付きを得たので、また帰ってこようと思いつつ屋久島をあとにしました。

帰りは無事飛行機も飛びました。行きはフェリーも欠航する大しけの中、高速船で2時間半もかけた鹿児島ー屋久島間を飛行機で40分。桜島を眺めつつ快適なフライトでした。

この日はお天気がよかったので、仙巌園でお散歩です。桜島が本当にきれいで、しかも山桜があちこちで満開で春な気分になりました。



しかし近い。これがドーンって噴火したらそりゃ怖いなあ。中心街からこの距離に頻繁に噴火する火山があるっていうのも、すごい日常だなあと思ったのでした。東京からかろうじて見える山で、普段から煙噴いてるのって浅間山くらいしか思いつかない...(富士山が噴火したら大変だけれど、東京からは直線距離で100km以上ある)

鹿児島というか、仙巌園を歩いていると島津家が薩摩、あるいは日本の近代化にいかに貢献したか、ということを学ばされるわけですが、一方屋久島では年貢となる米が取れないために杉を年貢として納めていたこと、またその徴税割合はあまり分が良いものではなかったこと、そのために屋久島の杉は江戸時代にかなり切られてしまっているという話を聞くと、いつの時代も為政者側の歴史と民の歴史は相容れないものだなあとも思うのでした。

ちなみに仙巌園の最後のハイライトはスターバックス(笑)。仙巌園の園内マップにも書かれていて、れっきとした観光ポイントです。登録有形文化財「旧芹ケ野島津家金山鉱業事業所」をリノベーションしたもので、スタバのカップとともに記念撮影する人多数。注文にも受け取りにも行列できてますが、モバイルオーダーならその列を完全に無視して席で待つだけで10分もせずに出てきます。


この日の宿は桜島が見えるShiroyama Hotel Kagoshima。桜島ビューの広い露天風呂のある温泉付きです。夕飯の豚しゃぶしゃぶもめっちゃ美味しかったですし、朝食のビュッフェは種類が豊富でまたよかったです。(自分で作る鯛茶漬けとか、黒豚のしゃぶしゃぶとか、豚骨煮とか、鹿児島特産品も多いのが◎)

最終日は朝から雨模様だったので、霧島の方まで行って温泉に入ることに。一応素泊まりも受けてるみたいだけれども、基本立ち寄り湯として営業している日の出温泉きのこの里というところに行ってみたのですが、これが正解。地元民に愛される温泉のようで、まだお昼前でもそれなりにお客さんがいましたが、中性の炭酸水素塩泉で、ザブザブ流れる源泉かけ流し。温泉分析表には無味無臭と書いてありましたが、若干鉄分臭のするあたたまるお湯でした。切り傷とか皮膚炎に効く温泉なのだそうです。軽食とコーヒーを出しているのですが、コーヒーは結構こだわってるみたいで、渓谷を眺めながら美味しいコーヒーを飲めました。


鹿児島を満喫して帰ってきました。今度は霧島連山方向へ抜けるのもありかなー。宮崎県もまだ行ったことのない県なので、次の目標です。

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