[旅行]奄美大島で去りゆく夏を惜しむ

奄美大島に行ってきました。夏は山(阿蘇)に行ってしまったので、今年海に行ってないなーと思ったのもあり、奄美大島を選択。10月中旬に海に行く?!って思われるかもしれませんが、全く問題なかったです。

奄美大島は沖縄本島、佐渡ヶ島に次ぐ国内3番目に大きな島。面積は東京都23区よりも若干広く、南北に長い二等辺三角形のような形をしています。行政的には鹿児島県ですが、地理的には沖縄県のほうが近い、九州から離れた島です。島、ではあるのですが、平坦ではなく、標高694m湯湾岳を最高峰とし、中央部はほぼ森林。島の65%を森林が占め、その大半が自然林です。なんとなく南の島だけにビーチのイメージを持つ方もいるかもしれませんが、島周辺は後述の通り山がそのまま海へと落ち込むリアス式海岸が続きます。人口は約5万人、市街地は0.5%。奄美の文化が色濃く残る絶海の孤島のイメージが私にはありました。しかし、それはこの3日間で色んな意味で覆されます。

奄美大島の交通・植生・地形

奄美空港は屋久島のように小さい空港ではありません。B737が着陸できる滑走路があり、プロペラ機しか着陸できない屋久島とは異なります。そのため、JALも羽田や伊丹から直行便を飛ばしているほか、LCCが関空や成田から来ています。選択肢は多いのですが、便数が多いのはやはり鹿児島空港。7便が往復していて、5便しかない屋久島とはこれまた異なります。時間の問題で行きは鹿児島経由、帰りは直行便を選択しました。ところが今回は快晴の鹿児島空港に着陸できたから、すんなり乗り換えできるかと思いきや、なんと搭乗予定だった飛行機が整備不良で欠航に(さすが自分、と思った)。今回は完全にJALのせいなので、1時間後の次の便に振り替えてもらった上で、1人1000円分のバウチャーをもらいました。まだ奄美大島についてもないのに、軽羹購入(笑)。あとで知ったのですが、この時期の軽羹は、新自然薯が使われてる新薯軽羹なんですって。


島内はレンタカーで移動しましたが、最も大きい市街地の名瀬までは案外バス便もあるようでした。ただ、空港は北の端、宿は南の端で、その間約80kmもあったので、最初からレンタカーの予定でした。空港近くのレンタカー屋で借りたら、今までにないほど傷だらけのカローラが出てきましたよ。これならどこぶつけてもきっとOKだなと思いましたが。

山間部の多い離島の道路、ということで結構覚悟をしてたのですが、これが拍子抜け。島唯一の国道58号(なんと2桁国道!)は、鹿児島県鹿児島市から種子島を経由して沖縄県那覇市まで繋がる長い(海上航路を含む)道路なのですが、ものすごくキレイなんです。しかも途中の山間部は立派でこれまた長いトンネルが貫いている。自治体や整備主体の体力差を体で感じる自転車乗りとしては、この道路整備費は一体どこから出ているのかと思ったのが、まず最初の疑問でした。

その山間部は明らかに南の島です。地理的には沖縄に近いと言いましたが、山を覆うのは、オキナワジイとも言われるイタジイの森。また初日が雨だったので通り過ぎるのみで寄ることはしなかったのですが、川のそばにはマングローブの森が広がります。


一方で、南の島と言われて思い浮かべるビーチは案外少ないのです。特に南部は山がそのまま海に落ち込むリアス式海岸になっています。2日目にボートで海に出ましたが、陸のかなり近くまで深いために、すぐそばまでボートで寄れるのが特徴と聞きました。


ボートで岩場にここまで寄れる

初めて行くので、島全体を一周しようと思い、宿は島南端のヤドリ浜というところにあるTHE SCENEにしました。天井の低さや、柱の様子からおそらくかなり古い時代に建てられた別の用途の建物を買い取ってリノベーションしたのではないかと思われるのですが(追記:おそらく昭和時代だろうと思ったら、本当にそうだった、1988年築のダイバー用宿泊施設を改装とのこと)、大島海峡に向かって一面全体がガラスの部屋、海まで徒歩0分の立地、加計呂麻島を望むロケーションなど、素晴らしい場所でした。しかも、別棟に温泉露天風呂があり、海を見ながら入れるだけでなく、海から出たらそのまま温泉に入れるという便利さ最高です。

奄美大島は西側の端のほうへ行くと夕日がものすごく綺麗なのだそうですが、宿から見える夕陽も雲間から光が漏れ、それが加計呂麻島へと射していて、とても幻想的でした。


フリーのトライアル的アクティビティも充実してて、2日目は1日ボートで遊んだあとに、1人15分のマッサージをお願いしたり、最終日は浜辺で朝ヨガに参加したり。外でヨガって最高なんですよね。ヨガマットにひっくり返って空を見ると、吸い込まれるような気分になるんです。写真はインストラクターが撮ってくれたもの。



海で遊ぶ

今回のテーマは、まずは海を楽しむ!でしたので、2日目は宿が出してくれるボートに乗って1日大島海峡をうろうろしました。実は3日とも天気予報は雨!だったのですが、見事に覆しましたよ。朝はまだ雲が多かったのですが、ボートが出る直前にはこの天気。奄美大島は年間通して雨量の多い島で、1日晴れみたいなときはあまりないそうです。そのあたりは屋久島と同じですね。たまたま前線が北側へ上がっていくところで、この日も加計呂麻島周りはずっと晴れていたのですが、奄美大島の山へ目を向けると「明らかに雨降ってるね」という空でした。

宿の前の浜辺

大島海峡は上の写真で見えている海のこと。奄美大島の南にある加計呂麻(かけろま)島と奄美大島の間にある海路のことです。東西に長い加計呂麻島は、外海からの防波堤の役割を果たしていて、比較的穏やかな海峡では養殖などが盛んに行われています。その主な養殖水産物は、真珠、そしてなんと黒鮪。宿では2日とも黒鮪が出ましたけれど、とても美味しかった。奄美産の鮪と聞いたときは、外洋で獲ってきたものかと思いきや、養殖だったんです。台風とか来ると逃げたりすることもあるらしいですよ。

2日目に出たお刺身。左上が鮪、この日はのどぐろが入ったとかで、炙りにしてくれました。

たまたまボートで1つの生簀を通ったときに、餌やりの時間で、マグロがバシャバシャしているのを見ることができました。

前日から強風だったため、出航できるかも危ぶまれたのですが、この日は非常に穏やかな風で、「今年まだ3回しか行けてない」と言われた加計呂麻島の反対側へボートを回してくれました。とっておきの場所でシュノーケルもできましたよ。ここの海は白化してしまった珊瑚が少なくて、全体的に元気に見えました。



珊瑚の森の上を飛んでる気分?

まるでドロップオフのような崖に珊瑚が密集しているのが見事。パラオに負けじと劣らずといった感じです。最後に寄った嘉鉄の海では、クマノミも見られましたよ

加計呂麻島でボートでしかアクセスしにくい場所もいくつか。最近映えスポットと注目されてるらしいアマーズロック。鉄分が多く赤く見える岩は、たしかに目を引く景観です。潮汐によっては岩のところまで水に浸かるらしいので、上陸できるのは波の状況と時間帯によります。陸からはアクセスできないそうなので、海から行くしかありません。


さらに、ケンムンがいるといわれる武名のガジュマル。本当に、枝に妖精さんが座っててもおかしくないと思われる木でした。


島の道路はどこまでも立派(西側をドライブしながら空港へ)

帰りは国道からそれて県道85号を宇検村へ。上の3枚目の写真は、この途中の赤土山展望台から撮ったものです。中央部が原生林に覆われていることがよく分かります。宇検村からは海沿いを走る県道79号で北上。こちら側は道路はきれいではあるものの、まだトンネルだらけ、というほどではなく、東シナ海を見ながら景色の良い道をドライブできます。ただ、斜度がある山道も多いので運転注意。

名瀬の手前、国直という地区に宮古崎という岬があって、そこの景色がものすごくきれい。駐車場に車を置いて、アップダウンの激しい遊歩道を進むと、リュウキュウチクに覆われた草原のような場所へ出ます


岬の端からは、東シナ海が広がるのです。ここ、NHK大河ドラマ『西郷どん』のオープニングで有名になった場所。NHK大河ドラマは地方観光地の景気や整備優先度を左右しますね。


風が少しあったので、水面がやや波立ってますが、それでも崖の上から底の珊瑚が見える透明度。このコバルトブルーとターコイズブルーの中間的な、微妙な色が奄美の海の特徴だそう。


さて、何故奄美大島の道路は整備されているのか、という話。ここにも宮古崎トンネルという最近できたトンネルがあります。その財源は社会資本整備交付金。それ以外にも奄美群島には奄美群島振興開発特別措置法(昭和29年6月21日法律第189号、時限立法にもかかわらず、5年ごとにずっと更新されて現行法。)で規定された交付金もあり、国からもろもろお金が落ちる仕組みができています。前述のとおり、2018年にNHK大河ドラマ『西郷どん』の舞台となり、さらに、2021年には世界自然遺産に登録。奄美大島ならではの動植物も多く、今回のように海も、そして自然林を歩くツアーなどもあるので、海も山も楽しめます。奄美パールや養殖黒鮪、そして黒糖焼酎など換金性の高い地域限定品もあるので、観光地のしてのポテンシャルの高い場所だなと思ったのでした。その黒糖焼酎、旦那が2日とも3杯お料理に合わせて出してくれるセットを頼んだので、いろんなのを飲んだのですが、熟成に使う容器が甕だったり樽だったり、あるいは原材料のもろみがタイ米・国産米などいろいろあって、それによって微妙に味わいが違うのが面白いのです。旦那は町田酒造の「一村」が気に入ったみたいで、帰りに買ってました。


そうそう、奄美大島といえば鶏飯かもしれません。1日目のお昼に名瀬で食べました。個人的な感想としては、出汁はうまいが、何も鶏ササミをご飯に乗っけて、それをお茶漬け状にして食べなくても...でした。。宿の朝食でも材料が置いてあり、自分で鶏飯が作れるようになっていましたが、お出汁だけいただきました(それくらい出汁はうまかった)。一方で、夕食で出た塩がとても美味しかった。塩辛さよりも旨味が感じられて、サラダ、肉、お刺身、何にでも合いました。塩こしょうとオリーブオイルだけで味付けしたサラダがとても美味しかったので、加計呂麻島のお塩、お土産に買ってきました。



今回は主に海で遊びましたけど、時期によってはクジラが見られたりもするそうですし、山の中に入る時間は全然なかったので、山や滝も見てみたいし、また行きたいです。

ちなみに、すでに山からは紅葉の便りが届き始めている時期に海遊びをしようと思う人は少ないようで、海はどのポイントもほぼ独り占め状態(でも水温は普通に水着で入れるくらいでしたし、日差しもあったので濡れたままボートに乗ってても寒くはなかった)でしたが、宿にはヨガをしに来ているグループがたくさんいました。もともとヨガツアーを企画したりする宿であったこともあるかもしれませんが、とにかく女性客が多くて、女性2人組(我々と一緒にボートで海に出た2人も女性2人組だった)が目立ちました。そういう場所って、どんどん人気になりますよね...きっと第2の宮古島のようになって、そのうち一気にレートが上がるんじゃないかと思ってますが、今はまだ帰りの羽田直行便も余裕があるような感じでしたので(しかも鹿児島県は度々強烈な離島割引系のクーポンを出してる)、行くなら今、かもしれないですよ。

コメント