[旅行]高野龍神スカイラインと紅葉

 龍神温泉に行きたいという旦那の希望により、紅葉の時期に和歌山の山に行ってきました。

熊野古道の基点

南紀白浜空港は初めて降り立ちました。ほんとこじんまりとした空港です。かつては複数の空港から便があったそうですが、今は1日に羽田から3往復するJAL便が飛ぶのみ。近くのレンタカー屋は、そのJAL便の発着に合わせてしか開かないという僻地です。でも空港があるおかげで和歌山南部に東京から1時間でアクセスができます。新幹線を使うと余裕で5時間以上かかるので、この空港とてもありがたいです。

せっかくここまで来たので、熊野本宮大社へ。世界遺産にもなっている熊野古道は、すべてこの本宮に繋がります。熊野古道はこのあたりを縦横無尽に走っているので、途中何度もその道をクロスしました。

大斎原にある大鳥居。かつてはこの奥に本宮がありました。今は土台だけが残ります。写真だとわかりにくいですが、とにかく大きい。


大斎原の周りの田んぼは、「やたのもち」と言われるもち米で、これで釜餅っていう和菓子を作ってるらしいです。

そして熊野本宮の主祭神である家都美御子大神(素戔嗚命)に仕える八咫烏がシンボルとしてあちこちで見られます。



山の中の秘湯、龍神温泉

本宮からちょっと戻って龍神スカイライン方向へ。龍神温泉が今回の目的のひとつ。これまた非常にアクセスしにくいところにあります。少し時間が早かったので、温泉街(と言っても、数軒が軒を連ねる静かな場所)を過ぎたところにある龍神村の道の駅で休憩。すぐ裏の皆瀬神社に続く吊橋、渡れます。


この日の宿は上御殿。龍神温泉は、三代美人の湯のひとつだそうですよ。群馬県の川中温泉、島根県の湯の川温泉と龍神温泉の3つ。この3つの温泉でタイアップしたイベントもしてるみたいです。

建物自体はとても歴史あるものなのですが、おそらく最近リノベーションされていて、我々の泊まった部屋は新しく感じました。この手の建物だと多分カメムシ出るなーと思ってたのですが、結局一度も見なかった。露天風呂は勝手に入って内側から鍵をかけて貸し切りにできるタイプ。熱すぎず、ぬるすぎず、そしてややアルカリ性のつるつるするタイプのお湯でした。

食事は、目の前の日高川で取れる魚とか、鹿肉とか、そして梅!と、地物がたくさん出ましたし、しかもどれも美味しかった。

鹿肉のたたきは、完全に溶けないうちに食べてくださいって言われました。


護摩壇山から高野山へ

翌日は、ここからさらに高野龍神スカイラインをたどって高野山へ向かいます。とはいえ、龍神温泉から20kmくらいしかないので、ゆったり出て、フラフラと駐車スペースで停まったり...


護摩壇山に登ったり



写真のとおり、護摩壇山(標高1372m)はすでに紅葉は終わり。大体900m以下くらいが見頃のようです。これは高野山は期待できそう。

さらに高野大滝にもよってみました。まさに赤、オレンジ、黄色、そして常緑樹の緑と「錦」というに相応しい景色。



ここまで、民家はもちろん、車の通りもまばらだったのですが、高野山に近づくにつれて対向車が増えてきました。中の橋というところで高野山のエリアに入ると、突然街が現れるのです。相当驚きます。高野山の紅葉はまさにピークで、逆側から車がわんさか来てて、駐車場はどこも満車でした。奥の院のあたりは、墓地を持つ人たち用なのか、路上に駐車帯があって、それがもう縦列駐車状態になっています。我々は本日宿泊ですから、まだ昼前ですけれどもお世話になる宿坊まで行って、寺院の駐車場に置かせてもらうことに。お坊さんに快く迎えられて、「はいはい停めていいですよ、チェックインは15時からですから」と言われました。じゃあその頃戻ってきますと言って、ザックを背に真言宗の総本山を歩きます。

観光案内所で地図をもらい、壇上伽藍で諸堂共通内拝券なるものがあることを知ってそれを買い、壇上伽藍→大門→大師教会(授戒体験)→奥の院→徳川家霊台、そして翌日金剛峯寺を朝から拝観、というひたすら歩く修行をしました(この日歩いたのは18km)。大昔に来たときは大阪から日帰りで来たので全然時間が足りなかった反省もあり、今回は高野山に宿を取ることにして正解。それでもやっぱり時間足りない感じでした。大師教会での授戒体験は、共通内拝券についていたので行ったのですが、真っ暗なお堂に閉じ込められて、阿闍梨さまから戒律を守るよう言われる入門の儀式、よかったです。13時からの回は30分前に満席になる程の人気アトラクション(って言ったら怒られるけど)でした。

紅葉は本当にピーク。どの紅葉もきれいで、参拝者の目を楽しませてました。お天気がよかったので、赤が本当に鮮やか。紅葉を通して日が当たる場所は、白いお寺の壁が赤く見えるくらい、全山染まってました。宿坊の方によると、今年は急に寒くなったこともあって、全体的に赤がきれいに出ているとか。ゆるく気温が下がると、赤くならないまま終わってしまうこともあるみたいです。

霊宝館前の紅葉

金剛峯寺前の紅葉
壇上伽藍


遍照尊院前の側溝は、真っ赤な紅葉で埋まってた

大門の紅葉

大師教会の紅葉

奥の院の入り口。観光バスもたくさんきてた

多聞院前

金輪塔

蟠龍庭

まだお彼岸には早いですが、高野山に墓地がある人達は、紅葉の時期に合わせて参拝する人も多いようです。奥の院を歩いていると、お墓をお掃除している人もちらほら見かけました。

泊まったのは、女人堂に近い(つまり高野山の入り口近くにある)福智院。宿坊なので、21時が門限で翌朝は6時半まで門が開かないとか、風呂(温泉)は21時までとか、部屋には外鍵がないとか、食事は精進料理とか、いろいろ制約はあるものの、それはそれで面白い体験でした。これまた大昔、永平寺に泊まったときに出た精進料理の記憶よりもずっと美味しかったです。ベジタリアンとかヴィーガンなんて言葉が入ってくる、ずーっと前からある動物を食べない料理は、それでも平成・令和と時代を経ることでいろいろ進化してきたのでしょう。肉も魚も卵もつかないのですが、高野豆腐とか、天ぷらとか、とろろとか、どれも味付けが私好みで、全く不満なしです。宿坊の方はあくまでお坊さんで、もちろんホテルマンじゃないのですが、どなたも皆さん穏やかな感じで、ホスピタリティもばっちりでした。

てんぷら美味しかった!奥の甘味系がもられている前菜?も最高。

朝は6時から本堂で行われる勤行に参加しました。その後本堂内を案内してもらったのですが、高野山を歩いていてずーっと不思議に思ってた切り絵(吉祥宝来)が、一体何なのかを聞いたのです。高野山は米が取れないので、しめ縄の代わりに飾るものなのだとか。正月に入れ替えて1年飾るそうです。なので、本堂に飾られた吉祥宝来には、干支の虎をかたどったものもありました。吉祥宝来はお寺さんだけではなくて、一般の商店でも見られます。熊手みたいなものですかね(あれを交換するのは酉の日だけど)。

金剛峯寺前の大駐車場は朝9時の段階ですでに満車でしたし、大型バスなども多数来ていましたが、何しろ大阪からでも日帰りがギリギリというアクセスの悪さが災いして、紅葉がピーク、天気も良い土日なのに全体として人が多いわけでもなく、お寺と紅葉の景観が人気の京都と比べると、ゆったりと楽しめます。おすすめです。

泊まった福智院のすぐ裏に、こじんまりとした生麩まんじゅうのお店(笹巻あんぷ麩善)があったのですが、最終日の朝に金剛峯寺を参拝(かつ内部を拝観)したあとで、開店時間にあわせて買ってきました。これが今回最大のヒット。日持ちしないために配るようなお土産には向かないのが残念ですが、1個からも買えますし、冷凍タイプもありますから、自宅用、帰りのおやつにぜひ。

前日の龍神温泉もこの日の高野山福智院もですが、とにかく静かなんですよね。東京、特に我が家のあたりは近くに大規模病院があることもあって、24時間緊急車両の音がしている上に、空を飛ぶヘリ(東京ヘリポートも近い)や飛行機(羽田の発着ルートに入っている)、目の前の運河を行き交う各種の船、幹線道路を走る車の音など、とにかくずーっと音がしてるんです。逆に当たり前になってしまっていて、全く気にもしてないのですが、この3日間その背景音が全くしない(それだけじゃなくて、人の気配さえしない)のが逆に気になってしまいました。

関空から東京へ

帰りは南紀白浜へ戻るのではなく、そのまま北上して関空から帰ってくることにしていました。多分こんなことでもなければ関空を使うことはないでしょうし、伊丹は大阪の市街地を通ることになるので渋滞にハマると嫌だな、と思ったこともあります。

途中、加太というところに立ち寄って深山砲台跡を見学。砲台は明治時代の由良要塞の跡で、かなりの規模です。


砲台の向こうには、淡路島を望む海が見えました。対岸の友ヶ島にはさらに大規模な砲台跡があり、ラピュタっぽくて人気だそうですが、残念ながらそこまで時間がないので、空港へ。

手前が地の島、友ヶ島、その向こうが淡路島

関空へは3.7kmもある有料連絡橋(世界最長のトラス橋、2018年の台風でタンカーが衝突した橋)で渡るしかないのですが、この日はお天気良かったこともあってとても景色がよく、これはこれでまあありかなと思います。ただ、りんくうタウン側に料金所があって、ディフォルトで往復料金が取られるんですよ(自治体の税金100円を含めて940円)。当然入った車は出るということだと思いますが、レンタカー乗り捨ての場合はそうじゃないですよね。じゃあ逆に関空で借りてよそで乗り捨てたら料金取られないのかと思いきや、レンタカー会社のところに「他店で乗り捨ての場合は、連絡橋料金940円を別途貰い受けます」って書いてあって、それって二重取りじゃないのかと思ったんですけど、どうにかならないのでしょうか。

関空へ渡る前にガソリン入れようと思ったんですが、りんくうタウンは混んでるし反対車線にしかなくて面倒だからと返却時に精算にしたんです。一体いくら取られるかと思ったけれど、まちなかのガソリンスタンドの料金が急騰していることもあって、大して変わらなかった上に、もともと搭乗ギリギリまでの時間で料金を支払っていたから、「ちょっと早く返してもらったので、その分と相殺」してくれて、約300km走って支払ったのは600円くらいでした。レンタカーを早く返したからと返金が発生したの、初めてです。

関空は10月下旬に新しい国内線エリアが開いたばかり。これから増えるのかもしれませんが、手荷物検査を受けたあとは、現時点ではあまり食べるところはないので要注意です。私は成田の国内線エリアを使ったことはないのですが、成田もこんな感じなのでしょうか。関空内でちょっと遅いお昼を食べ、東京へ。お天気良くて最高の3日間でした。

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