ハロン湾クルーズとチャンアン(陸のハロン湾)

 

今回、正月休みの旅行先にハノイを選んだのは、ハロン湾に行きたかったのが理由です。ハロン湾はハノイから車で約3時間。日帰りのクルーズなんかもあるのですが、せっかくなら1,2泊するのがおすすめだそうで、1泊のクルーズに乗ることにしました。クルーズ会社がハノイまで送迎バスを出していたりもするのですが、私はせっかく遠出するならチャンアン(ニンビン)にも行きたいと思って、両方に行ってくれるチャーターを選びました。ちょっと高めになるのですが、日本語ガイドもついてのプライベートツアーなら、こんなものかな、という価格。

ハロンは漢字で書くと龍が下るなのだそうです。ベトナムが独立した頃、敵が攻めてきたところに龍が降りてきて、珠玉を吐き出して敵を阻止、そしてそのまま地上に残った、というのが今の奇観を示しているというお話があるのだとか。

ハロン湾では真珠が養殖されています。私達の質問がやたらと地形や産業についてばっかりだったからか、ハロン湾の途中の(トイレ)休憩所として普通のお土産屋じゃなくて、真珠加工場に連れて行ってくれました。

貝に真珠の種を植え付ける

黄色、白、黒など色や、形によって分ける。真円になるものは非常に少なく、色や形が完璧であるほどお値段も高い。

ちなみにベトナムの真珠養殖は、ミキモトの御木本幸吉氏の貢献があるのだそうです。こんなところにも日本色。

フランス領だった頃は保養地として栄えたらしいハロン湾沿いは、今も大きなホテルや別荘地、遊戯施設が立ち並ぶ場所です。山の上のほうまで次々と新しい建物が建てられていて、ダナンを思い出しました。どこに行っても勢いを感じる国です。

様々なクルーズ船が港から出ます。番号が振られたチェックインカウンターがあり、チェックインしたあとは皆さん思い思いに出航を待ちます。


ガイドさんがチェックインしてくれちゃったので、私らは待ってるだけ。12時ごろ、小さなボートに乗って出発。ちなみに、ペットボトルはハロン湾クルーズへは持ち込み不可なのだそう(環境維持的な意味合いで)。最初に船のクルーから説明があったのですが、制服さんが見張ってるので「ペットボトルは手に持つな、バッグの中に隠せ」(笑)だそう。

我々が乗ったのは、Athena Luxury Cruise という船です。

お部屋も広くて、バスルーム・バルコニーつき。

クルーズとは言っても、湾を数時間行って、そこで停泊、そして帰ってくるだけなので、この大きさの船なら殆ど揺れません。お天気もよかったので、快適なクルーズでした。

ハロン湾の奇景は石灰岩が作っています。私は桂林は見たことがないのですが、でき方としては同じです。同じく石灰岩によって作られたパラオのロックアイランドを思い出しましたが、こちらのほうが細長い感じで、また違う趣があります。当然石灰岩ですから、そこには鍾乳洞が。その一つがHang Sung Sot (驚きの洞窟)。船でしか行けない鍾乳洞で、クルーズに乗ったらおそらく必ず訪れる場所だと思います。



天井は雨漏りの部分が鍾乳石になっているのだけれど、形状から龍と言われてるのだとか

最初の写真は、このあと行ったティートップ島の頂上にある展望台から。ダナンでも大変苦労しましたが、相変わらず段差の大きい階段を登らねばなりません。途中で諦めるご老人(多くは西洋人)もたくさんいました。

ちなみにティートップって何?と聞いたら、人の名前だと言われました。ティートップ島に彼の石像があります。ソ連の宇宙飛行士、ゲルマン・チトフ氏です。彼が1962年にハロン湾滞在中、ホー・チ・ミンとともにこの島を訪れたとき友好の印として、この島に彼の名前(ベトナム的にはTiTopらしい)をつけたという説明書きがありました。

船に戻って、生春巻きクッキング講座に参加したり、夕日を眺めたり。



ゆったりしてると「夕飯ですよー」というアナウンスが船内に。食堂に向かいます。


かぼちゃのスープは別の所にもあったので、もしかしてベトナムでは一般的?すごくかぼちゃだった。

真ん中のはイカのすり身を揚げたもので、ハロン湾名物。右上のエビもこの辺で取れるエビ。

サングリア頼んでみたら、面白い味だった。今回めちゃめちゃスイカ食べた。今年の初物。

やっぱりスイカ。

見た目も素敵で、かつ、地元食材をふんだんに使う、という外さないメニュー。面白かったのは、今回結構インド系の人が多かったんですよね。彼らの一部は肉を食べないので、ブッフェとかもベジタリアン食材が充実してました。ガイドさんが「西洋人が多いときは、結構肉系が多い」と言ってたので、乗る人に合わせてあえて変えてるのもおもてなし感あっていいのかも。もしかしたら、ですが、豆腐スープがあったんですよね。私達に合わせてくれた?(しかし私は豆腐はあまり好きではないという皮肉)

夕方ごろは周りの船なんかもやかましい音楽を流していたりして、結構にぎやかでしたが、それもいつしか収まって、波の音さえしない夜がやってきます。静かです。


朝から太極拳をやったり、ボートに乗って洞窟を超えないと見られない湖に行ったり。

サルが住んでる。天敵もいなくて天国なんでしょうね。

というわけで、1泊2日のハロン湾クルーズを満喫して帰ってきました。

港から再び車に乗って、3時間。ニンビンにあるチャンアンという場所に行きます。こちらは陸のハロンと言われるやはり石灰岩による景観が見られる場所があります。『キングコング髑髏島の巨神』のロケ地として知られる新しい世界遺産で、最近注目されている土地なんだそう。

ここでできるのが、洞窟を巡るボートツアー。


洞窟を抜けると、船でしか行けないお寺が






舟が水を進む音しか聞こえない、静かな場所です。舟遊びをする貴族が見えるよう。

近くにホアルーという古都があります。ベトナムの戦国時代を制した初代の皇帝、ディン・ティエン・ホアンがここに都を置いたのだそう。彼の廟があります。ガイドさんによると、彼は家臣によって子供とともに毒殺されたんだとか。あとでちょっと調べたところ、遺された6歳の息子が皇位を嗣ぐのですが、それを好機と見て中国(宋)が攻め込んできます。それを阻止したのが将軍のレ・ホアン。幼い皇帝を差し置いて、その母親(つまり皇太后)と関係を持って実権を握り、後に皇帝として即位。死後、3男が皇位を嗣ぐものの、即位3日後に弟の5男に殺害され、その5男も早々に殺されたそうです。なんだか大河時代劇ファンが喜びそうなドラマがありそうです。

正面の屋根はベトナム風の赤い鱗瓦。

というわけで、ボート遊びをひたすら楽しんだ2日間でした。ハロン湾、もう1泊しても良かったなーと思ったくらい。夏は夜にイカ釣りを楽しんだりもできるみたいです(今の時期もやれと言われれば準備してくれるけど、やっぱり時期じゃないから釣れないよと言われた)。夏は暑いし、台風の可能性もあるので、この時期が島に上がったりするにはいいんじゃないかなと思います。日本からの団体ツアーに乗って日本人で貸切、じゃなくて、個人で船に乗ると、色んな国の人間模様が見られるのも面白いです。

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