[旅行]遮るもののない地平線② ウルル=カタジュタ国立公園


1. シドニー空港での入国、国内線乗り継ぎ
2. ウルル=カタジュタ国立公園 (イマココ)
3. キングスキャニオン(ワタルカ国立公園)を歩く
4. オージービーフ!とその他の肉 

シドニー空港を飛び立ってすぐに街を抜けてしまうと、ひたすら何もない大地が続きます。3時間、ほぼ直線的に2200km、エアーズロックの空港まで飛ぶのですが、本当に何もありません。2200kmとは札幌ー沖縄の直線距離に匹敵します。その間、一度も海が見えることなく大地が続くのです。たまに赤土の道が見えるのですが、定規で引いたかのような直線。早くもオーストラリアの広さに圧倒されます。オースラリアというと、なんとなく海のイメージが強いのですが、この旅で実感したのは広大で平坦な土地を持つ国、ということでした。

飛び立って3時間、とうとうエアーズロックが見えました。写真では何度も見たことあり、おそらく誰もが知ってるエアーズロックが眼下に見えます。そして、まるでおもちゃのような空港が見えました(上の写真の中央、大地の中の直線がそれ)。

空港からはほぼ全員がリゾート行きのバスに乗ります(無料)。エアーズロック・リゾートは、ユーラーラというところにあり、現地ではウルルと呼ばれるエアーズロックや、カタジュダ(後述)とは、車で20-30分ほどの距離があります。オーストラリアの主要都市はすべて海岸沿いにあり、人口の大半が海から数十キロの範囲に住んでいるそうです。いわゆる中央地帯にあるエアーズロックの空港へはどの都市からも約3時間かかり、最も近い(比較的大きな)町であるアリススプリングスまで車で5時間かかる不便(不毛)な土地。リゾートを離れるとネットも通じません。ちなみにこのあたりでもっとも携帯電波が強いのは、先住民の集落だとか聞きました。万一怪我した場合は、リゾートに一応医者はいるけれども機材がそろっていないので、そこから5時間かけてアリススプリングスまで運ぶか、セスナを飛ばすしかないそうです。オーストラリアには救急のセスナ網があり、国民は無料でアクセスできるのだとか。キャンピングカーで何日もかけてどこかの都市から来るのでない限り、観光客は基本的にはリゾートに泊まり、そこで提供されるツアーに乗るのが一般的とのこと。もしくはレンタカーを借りることもできるようです。

我々は素直にツアーに乗ることにしました。到着後にウルルの麓めぐりと夕日を見るツアー、翌日はリゾートから300km先にあるキングスキャニオンを歩くツアー、最終日は搭乗前に日の出を見てカタジュタを歩くツアーと盛りだくさんです。2泊3日を余すところなく使い切った感はありますが、もう少しリゾート内でゆったりできる日があってもよかったかなとも思いました。つまり2泊3日で、みっちりツアーを入れると若干短いという印象。

昔はエアーズロックと言われていた一枚岩ですが、今現地では先住民の権利を認めて彼らに一帯の土地を返し、1985年から99年間(英連邦における借地は基本99年なんですかね)の約束で、国が先住民のアナング族から借りている形になっているそうです。なので、現地のガイドは全員エアーズロックをウルルと呼びます。なので、以降はエアーズロックと言われる一枚岩をすべてウルルと表します。

クニヤウォーク

この一帯はウルル・カタジュタ国立公園と言われています。カタジュタというのは、ウルルの東にある礫岩でできた岩山で、砂岩でできたウルルとはまた違った様子を見せています。いずれもアナング族の聖地で、彼らの慣習を尊重して入れる場所を制限しています。大きな点としては、2019年、ウルルの登山が禁止されたことです。登山道の跡は今もウルルの肩に白く残っているのですが、入口は閉鎖されています。事故も多く、植生や水の汚染をもたらしていた登山は、民族的見地からだけでなく、そうした環境的な見地からも許されなくなりました。また、北側は特に神聖な場所だそうで、写真を撮ることも禁止されています。商業的にウルルの写真を利用する場合はいろいろ許可が必要だそうで、そのせいでウルルの写真は大体同じような方向から撮られた同じような構図なのだとガイドさんが言っていました。それだけに、特に北側(日当たりが良いからなのでしょうかね)の厳しい様相のウルルや、渓谷内の様子などは、現地じゃないとみられない景色。また、それ以上にオーストラリアの大地は想像以上のスケールで、それだけでも感動です。

サンセットは西側から、サンライズは東側に展望台があって、そちらから見ます。南半球でも太陽は東から上り、西に沈みますが、ウルルの方角へ陽が沈むと、ウルル自体が逆光になって真っ黒になってしまうからなのだそう。陽の高さによって赤く染まるウルルが美しいですが、私は地平線から日が昇り、地平線へ陽が沈むのを初めて見たので、そちらもよかったです。日本の日の出・日の入りの名所というと大概水平線を指すと思うのですが、ここはどの方角も高い山が一切ないただひたすら平坦な大地が広がる場所。地平線ってこういうものなのかと思った次第。

地平線から日が登る

ウルルに最も近寄れるところでは砂岩に触ることができます。うちの旦那は五体投地してました。


ちなみに背中にぽつぽつ見える黒い点はハエです。とにかくハエが多い!初日は空港から宿に到着して、荷物だけ預けてそのままツアーに参加してしまったので、ハエネットなるものが必須であることも全く気付かず、顔や手にまとわりつくハエに難渋しました。どの宿でもフロントなどで売ってるので、fly net必須ですから買っておきましょう。このハエ、日本の蠅と違って、トイレにはいないし、暗いところが苦手なので陽が沈むと出てこないそうです。また暑すぎても活動しないので、出てくるのはこういう人間にもちょうどよい気候の時だけなのだとか。みんな帽子の上からハエネットをかぶってます。これでも全身に(服の上から)虫よけスプレーを浴びるほどかけたので、この程度で済んでいる感じで、特に色の濃いリュックサックなんか、びっしりハエがつく感じです。まあ害のあるものでもないので、気にしなければいいのですが、顔や首につくのはくすぐったいです。

最終日に行ったのが、カタジュタ。こちらはアナング族の男性の聖地になっているそうで、入れる場所もかなり制限されています。


ウォルパ渓谷。ウォルパとは風という意味だそう。つまり風の谷。

また、前述の通りウルルは砂岩、カタジュタは礫岩なので、近くでみると結構雰囲気が違います。ウルルは本当につるっとしている感じなんですよね。詰まってるというか。カタジュタはもう少し隙間があってごつごつしたイメージです。いずれも遊歩道の近くに駐車場があって、そこから簡単に入ることができるようになってました。2枚目の写真がクニヤウォーク、最後の写真がウォルパ渓谷のもの。

エアーズロックの縦の線は地層なのだとか。90度に曲がって隆起してきたことを表す

カタジュタは1つの岩というより、谷によってあちこちが削られ、見る方角によって様相が変わる。カタジュタとは、たくさんの頭という意味だそう。

3. キングスキャニオン(ワタルカ国立公園)へ続く


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