ここが変だよ著作権と思ったら・・・

国会図書館は全頁のコピーを提供できない(Copy&Copyright Directoryに、面白い記事が掲載されていたので、私もリンク。

文化・著作権を楯にコピーもままならぬ国会図書館なんて!(JanJan)

Copy&Copyright Directoryでも書かれていますが、図書館でコピーができるのは、著作権法第31条による著作権者に対する権利制限があるからです。そして第31条の条文から、図書館が複製して提供できるのは、「図書館資料」のみであり、それは「図書館が持っている資料」のみである、という解釈がなされています。また、この条文の主語は、「図書館等」であり、利用者が勝手に複製できるわけではありません。本来は、利用者が自分で複写するのはダメなのですが(図書館員が求めに応じて一人一部コピーして提供するのが正しい)、それは権利者団体との協議によってどうにかしていることも多いです。またこれは条文のとおり図書館だけの特権で、「図書館等」に入らない施設では、例え本を置いていたとしても、利用者の求めに応じてコピーを取ることはできません。一枚でも複写するには著作権者の許可が必要です。

で、複写ができる「一部分」の部分は、「図書の場合は半分まで」と解釈されているので、国会図書館の言い方は全く間違っていません。しかも国会図書館は非常に厳格に著作権法を適用して、複写は図書館に依頼してコピーする形を取っています(先日行ったときもコピー機は無かったと思います)。当たり前です。国民の代表者である国会が定めた法律(ルール)を、面倒だからとか、時節に合わないとかいう一方的な理由で国会図書館が曲げたりしたら法律としての意味を成さないのです。

結構この「半分までコピー」は、勘違いしてる人も多いのです。法律のことを分かっていながら夫婦で前半後半という半分づつをコピーしようとする猛者もいるらしいですが、先日学生さんから「半分までコピーで取り寄せできました!ありがとうございます。で、後半はいつになったらコピーできますか?」と本気で聞いてきた子がいました。半分までコピーできるの意味を「手間がかかるから半分まで」だと勘違いしていたようなのです。あるいは時間を置けばバレないだろう、と思う人もいるようですが、甘いです。「図書を半分までコピー」という依頼は、「そこまで読みたいから」ではなく、「著作権法の制限があるから」という理由が多いのです。図書館ではそういう依頼をしばしば受けるので、当然「前半を」「後半を」という依頼があれば、過去の記録をチェックします。前述の夫婦で・・・というのも、「こんな人がいる」というコラムで書かれていました。

図書館も著作権法に縛られているのです。著作権を楯に何かをしてるわけではありません。著作権法はインターネットどころか、複写機も普及していなかった時代の法律で、複製だの公衆送信だのの部分は、権利者の権利を守ろうとするあまりに、利用者の利便性を大きく損なっていることは否定できません。これって本当に権利者の利益になってるのか?単に利用者の権利を損なってるだけじゃないのか?と思うことがあれば、どんどん声をあげた方が良いと思います。今、著作権法に関する「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会中間まとめ」に関する意見募集が行われていますから、是非送ってみたらどうでしょうね。

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