2008年1月28日

電子ブックリーダー端末はどうなるんでしょう

Amazon Kindleは好調なようですね。かつて、日本でもSONYが読書端末というものを売っていましたが、どちらも撤退してしまったと聞きました。しかしそのSONYは米国ではまだ読書端末を売っているようです。日本ではスマートフォンはあまり好調ではないけれども、アメリカでは当たり前のように、少し携帯する物に対する観念があちらとこちらでは少し違う様子。

先日、たまたまiLiadという電子リーダー(と言ってましたが、読書端末ですねこれは)を触らせてもらえる機会がありました。Kindleと同様WiFiが搭載されていて、ヨーロッパでは既に経済紙と手を組んで、年間購読料を払うと、毎朝WiFiを通じて新聞を送信してくれるというサービスが行われているようです。KindleもKindle Storeが提供する大量の図書に加えて、新聞が見られることも売りにしてましたよね。Kindleでは特殊なフォーマットを使っているのでPDFには一度変換を加えないとダメらしく、また日本語PDFは文字化けしてしまったという話も聞きましたが、iLiadでは日本語PDFもちゃんと表示されていました。

日本では出版社側もあまり積極的ではないからなのか、どうもこの電子ブックというコンテンツ市場が成り立っていません。サーバーや配信用の回線を維持し、電子媒体へ変換することは、恐らく紙媒体を維持することよりも面倒でコストもかかることなのでしょう。既にCDというデジタルの媒体があった音楽よりも、その変換はずっと大変なことなのだと推察されます。将来性を考えてそちら側へ踏み切るにしても、当面紙媒体の発行を止めるわけにもいかない。しかし、「将来性」というあやふやなものに、ダブルでコストをかけられるほど、日本の出版社は体力が無いのだと思うのです。元々日本語という言語自体がマイナーで、使用人口も少ない。何度も書いていますが、あえて電子化したとしても他の言語のように世界中で売れるわけではないのが非常につらいところです。しかし、一般の人が電子ブック形態を全く望んでいないかというとそうでもない。特にケータイ小説の普及は目ざましく、それが逆に紙として出版されてベストセラーになってしまうような事態が起こっています。コンテンツがあり、安価で読めるのであれば、電子ブックの市場というのは決して小さくはないと思うのです。

なので、新聞と手を組むというのは案外面白いビジネスモデルなのではと思いました。新聞社が年間購読料+αでこういう端末を貸し出し、毎日プッシュ型で送信するというのはありな気がします。新聞は元々読んだら捨てるもので、その形のまま取っておくというものではないですし、廃棄するのにも手間がかかります。一方で各戸への配布は人件費がかかりますから、それを減らせることは新聞社側にとってもコストカットにも繋がるでしょう。それに新聞はCD同様、もともと電子化されてるのです(少なくとも五大紙はすべてデータベースで検索できます)。最初は実験的に貸し出しモデルで安価に(あるいは年間購読料のみで)提供し、ある程度浸透してから次の段階に進んでもよさそうです。何より日本の電子資料が今まで何度も出てきてはつぶれていった最大の原因は「コンテンツが無い」上に「端末が高い」でしたから。このモデルならその両方を補うことが可能です。

今日たまたま、国立国会図書館長のお話を聞く機会に恵まれました。長尾館長も多機能なリーダー端末に期待をされていて、「環境的な側面から考えても、国を挙げて電子化したほうが良いのでは」、という話をされていました。話が逸れますが、この長尾館長のお話で、実は先日の3000万冊電子化の謎が解けた気がします。館長は、国会図書館も国立図書館として国民へ寄与する図書館とならなければならないと思っており、その点でどの国民にも等しくサービスを供給するという理念の一環として、図書の電子化をしてどこからでも情報にアクセスしやすいようにしたいということをおっしゃっていました。そのために著作権法の「図書館が資料の保存のためなら、資料を複製できる」という制限規定を使い電子媒体に複製する(通常、その場合は複製に用いた原本はその後利用に供してはならない)。現在、マイクロフィルムがその既定で複製されているため、電子化した暁には、マイクロフィルムと同じような利用形態で利用できるような制限を加えれば問題ないだろうというお考えのようです。それを聞いた記者に拡大解釈されたのか、本当は長尾館長はもっと上(全体デジタル化、公共図書館への専用回線での公開とか?)考えて話してしまったことが、思った以上に議論になってしまって、少し考え直したのか、そういうことなのかもしれません。いずれにせよ、図書は利用されればされるほど(つまりみんなが利用する資料ほど)破損し、失われる可能性は高いわけですから、利用の方法はこれから考えるとしても、お金があるうちに電子化しておいても良いと思うんですけどね。今後の動きを楽しみにしています。

で、話を戻しまして。iLiadでは紙面に対して書き込みができるという機能もついていましたし、Kindleにはキーボードもあるようです。インタラクティブに、「この記事への評価」とかできても良いですよね。インターネットと違って誰が投稿しているのか判りますから、スパム的な評価も減ると思われます。読者を特定せずにロギングしていけば、「今週読まれた記事のランキング」とかもできそうです。そのうち「経済面だけパック」とか「一面と社会面だけパック」とか、切り売りできても面白そう。

とはいえ、まだ無骨で大きいというのがこの読書端末の問題でもあります。読み込みもそれほどさくさくというわけではありません。同じく通信機能がついた端末として、ケータイやiPod touchのようなもっと売れてる端末がたくさんある中で、あえてこの端末を買おうと思うインセンティブってどこにあるかなあという疑問は残ります。

そういえば、iPod TouchにLargeモデルがでるかもなんて噂が出てましたが、これは容量じゃなくて本当に大型化して、Kindleに対抗するってことかも?

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