[movie]酔画仙


原題: 취화선
監督: イム・グォンテク
出演: チェ・ミンシク, アン・ソンギ, ユ・ホジョン, ソン・イェジンほか
2002年/韓国/1時間59分/カラー/

動乱の世の中にあった朝鮮。開化派の学者のキム・ビョンムン(アン・ソンギ)は、貧民街でいじめられていたチャン・スンオプを助ける。青年となったスンオプの画才に目を見張ったキムは、通訳官の家にスンオプを預けた。作男として働きながら、主人の持ち物である中国画を盗み見、驚くべき模写の才能を発揮するスンオプ。しかし、自分の絵をステイタスや財産としてしか認識しない貴族たちに彼は反発する。気まぐれに絵を描き、酒と女に溺れる毎日を送るスンオプだったが・・・。


吾園という号を持ち、貧民の家に生まれながら宮廷画家まで上り詰めた張承業(チャン・スンオプ)の一代記。ただスンオプの絵はほとんど残っておらず、その生涯も謎が多いとのことで、映画の中のエピソードのほとんどは架空の物だそう。なんとなく日本で言うと写楽みたいな人ですね。

架空のエピソードを積み重ねているという割に、劇的な起伏は少なく、また貧民の出から宮廷画家に上り詰めるという生涯の派手さをあえて強調することもなく、ただ天才的な絵を描き、精進をし、そして謎を残したまま消えていった画家として、美しい映像と共に語られる静かな映画です。岩波ホールのロビーには、現存するものが少ないと言われるスンオプの水彩画が展示されていましたが、日本の水墨画みたいな作品なのですね。その白黒の絵に合う、美しい映画でした。

韓国映画、昨今大量に入ってきていますが、『JSA』や『シュリ』などに代表されるハリウッド系のドンパチアクションと、『八月のクリスマス』や『イルマーレ』のような映像美と静かなストーリーで見せる映画と、極端なところが面白いですね。この映画は間違いなく後者の映画。涙を流す感動を与えるわけでもなく、ドキドキハラハラの面白さを提供するわけでもなく、ただただ悲しさや美しさを映像で表現するような作品です。

全然関係ないですが、チェ・ミンシクの映画、このところ立て続けに見てるなーと思いました。このおじさん、大人気なんですかね。確かに、やたらと個性的な顔をしている割に、ヤクザでも画家でもよれよれサラリーマンでもそれなりに様になってしまうところがすごいですね。

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