「風習」の創造

この前の節分の日、見慣れない光景を見ました。いつも閑散としているチェーン寿司店の前に人だかり。相方がそれを見て、「節分に太巻きって食べたっけ?」と聞いてきました。そういえばその数日前から「節分太巻き予約承り中」のポスターが出ていて、「節分太巻きって何?」と思っていたのです。私の実家は日本の風習をことごとく無視するいかにもな道産子家庭でしたから、そういうのもあるのかなーってくらいだったのですが、相方も知らないってことは、最近の風習なのか、それとも特定地域の風習なのか、と思ってネットで調べると、「恵方巻き」という関西方面の風習だったことが判明しました。最近コンビニチェーンが仕掛け人となってその風習が全国に広まってきたとか(産経新聞 2005年1月23日朝刊)。でもその起源も明治期の厄払いを元に1977年の大阪海苔問屋協同組合が始めたものってことなので、別に古くからの風習ということではないではないようです。まあ大抵の風習って元を調べたらそんなところに行き着くんでしょうけど。

で、昨日は3月3日桃の節句。今朝のテレビでお取り寄せランキングでカステラ屋が出てて、「この時期は最もカステラが出るんですって」「へえ、何ででしょうね」というやりとりがありました。出勤してみると、長崎文明堂の「桃カステラ」が上司の差し入れとして置かれていました。長崎の名物らしい「桃カステラ」は縁起物として桃の節句とかに贈答されるらしいです。へー。じゃあカステラが桃の節句に一番出るというのも、そこから来てるのかしら。

いろいろあるもんですねー。はっきり言ってどちらもチョコレートメーカーが始めたというバレンタインデーと大差無いのに、比較的一般に広まっている背景には、

1. でもどちらも厄払いとか、お祝いという、「縁起担ぎ」の意味合いがある。
2.それに対応する品物が「巻き寿司」や「桃カステラ」という日本的なもの(縁起担ぎらしい)

というポイントがあるように思います。「土用の丑の日」の鰻も元は伝承から無理矢理理由付けした平賀源内発案の売り上げ向上策だったという話もありますし、何かもっともらしい説明のある縁起担ぎの風習だと定着する可能性が高そうです。そう思ってカレンダーを見ると、3月3日と5月5日の間に4月4日というゾロ目の日がありますが、この日は特に何も行事が無い。そう言えば大昔は桜の散るころ疫病が良く流行ったという話がありますし、今でも鎮花祭という桜の花を鎮めて疫病退散のお祭りをするところもあるそうですから、それにあやかった無病祈願のお菓子や食べ物を発案して売り出したりすると根付くかもしれません。名前はせっかく鎮花(はなしずめ)という綺麗な言葉があるのでそれをいただくことにしましょう。キャッチフレーズとしては「鎮花には○○を食べる」とかどうでしょう。それにちょうどスギ花粉がピークを迎える時期でもありますから、花粉アレルギーにも良いらしいとか尾鰭をつけると尚良いかもしれません(詐欺師?)。でもだからといってヨーグルトにすると定着ポイントの2にはずれるのでダメです。もっと日本的なものを。桜を鎮めるに沿ったものだと、言い伝えにも信憑性が増しそう。何がいいかな~。さあ、頑張れ専門小売り店。売り出しのチャンス。

そして「鎮花祭」でググると、なんとトップに18禁ゲームがヒットするというオチなのでした。

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