[movie]ベルリン、僕らの革命


原題: The Edukators
監督・脚本: ハンス・ワインガルトナー
出演: ダニエル・ブリュール, ジュリア・ジェンチ, スタイプ・エルツェッグ, ブルクハルト・クラウスナー

理想を掲げ、現在の体制と資本主義に疑問を呈するヤン(ダニエル・ブリュール)は、彼のルームメイトであり親友でもあるピーター(スタイプ・エルツェッグ)と共に、金持ち宅に押し入り、家具などを動かしてメッセージを遺す「エデュケーターズ」だった。ピーターが旅行に行っている間、ピーターの恋人であるユールの引っ越しを手伝ったヤンは、彼女がある事故から莫大な借金を抱えていることを知る。ユールを慰めるため、エデュケーターズのことを打ち明けてしまうヤンだったが、それが思わぬ事態を引き起こし・・・。


ドイツでも日本と同じような学生運動の歴史があり、そして同じように鎮圧されたということです。日本はその後も民主主義・資本主義国として今に至りますが、東ドイツは共産圏として生き、そして冷戦の終焉と共に共産圏はことごとく崩壊し、ドイツは国が東西統一して今に至るという歴史があります。今ドイツでは、その統一後の貧富の差が広がるばかりで、いわゆる勝ち組負け組を作り出す資本主義に対する国民の不安・不満が言われているとか。そう言えば中国のデモも、貧富の差がもたらす不満が、あの形で爆発したという説もあります。かつての共産主義国は、いろんな意味で資本主義の猛威にさらされて、何か大切なものを失おうとしているのではないか、という焦燥感が強くあるのかもしれません。多分、そうした小さい不平不満から、今のシステムに反対はしない派と、今のシステムではもう我慢できない派のバランスが崩れたとき、革命が起こり、次のシステムが突然現れるのでしょう。それがいつ、どのような形で現れるのか、ということを考えたとき、今の経済システムに組み込まれ、平和に暮らしている人々にしてみると、そうした火種は少しでも見逃すことはできない、というのはよくわかります。だからやりすぎちゃダメ。アメとムチをちゃんと使い分けられる政治家が現れることが必要です。ただ今はまだ、その次のシステムを提唱する人もいないし、そうした革命への原動力となるような何かが見えないこともあり、この体制はしばらく続くんじゃないかと思いますけど。

何かを変えてやろうと、非力なことは認識しつつも頑張る彼ら。ただこの映画は、政治的な議論は行われながらも、全体として政治色は薄いんですよね。理想に燃える若者を描いた青春ドラマという感じ。そして、その雰囲気のまま、ラストは甘い終わり方をするのかと思ったら・・・おお!なかなかやりますね。結構すかっとする映画でした。若い人のほうが楽しく見られるんじゃないかなと思います。

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