2005年9月11日

著作権の見直し

「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会 審議の経過」に対する意見募集について

文化審議会が「著作権法に関する今後の検討課題」としてとりまとめられた課題のうち、改正の要望が多く、制度と実態の乖離が見られるなどにより緊急に検討を要する課題として、「権利制限の見直し」及び「私的録音録画補償金の見直し」について検討されており、今パブリックコメントを募集しています。

新聞記事などでは、いわゆる「iPod課金問題」としてとりあげられる「私的録音録画補償金の見直し」だけが注目されていますが、もう一方の「権利制限の見直し」も見逃せません。特に私としてはかねてからの懸案である「図書館関係の権利制限について」は一言も二言もあるところです。

図書館では相互貸借というサービスがあり、そのサービスを行っている他大学や他機関から図書を借りたり、論文の複写を依頼して取り寄せたりすることができます。比較的蔵書数の多い大学図書館でも、スペースや予算というのは常に頭の痛い問題で、ある程度は自館でそろえるし、特に利用の多いものについては最悪古書店で買ったりもするのですが、すべてがすべて買えるわけではないし、特に古いものは手に入れることができないことも多いので、持ちつ持たれつ、お互いの蔵書を相互に利用しましょうとなるわけです。当然郵送にはお金がかかりますから、往復送料等は利用者に実費負担をお願いしています。

しかし、そうして取り寄せた資料は、館外貸出しはできません。また、その図書のコピーを取り寄せた図書館で行うことはできません(できないとされています)。図書館でコピーを取れる根拠となっているのが、著作権31条の以下の条文


「図書、記録その他の資料を公衆の利用に供することを目的とする図書館その他の施設で政令で定めるもの(以下この条において「図書館等」という。)においては、次に掲げる場合には、その営利を目的としない事業として、図書館等の図書、記録その他の資料(以下この条において「図書館資料」という。)を用いて著作物を複製することができる。



ですが、ここで「図書館等の図書」に他館から借りた図書は入らないという主張があるからなのです。著作権者たちは、そんな図書をあちこちの図書館同士で借りたら、図書館さえ本を買わなくなるじゃないかと。そもそもコピーをしたいなら、図書館で買って蔵書にしろというのがその主張です。

しかし!ちょっと待ってくださいよ。図書館間で(少なくとも大学図書館間で)貸し借りされてる本は、大抵もう市場で手に入らないものなんです。往復送料に手数料がかかる大学図書館間の相互貸借は、大体1冊1500円から2000円くらいの料金がかかり、しかも宅配便などでくるので1~2週間待たねばなりません。しかもコピーもできないので、多少お金を出して手に入るならそっちのほうがお得。Amazonでもbk1でもあれば買うし、われわれだってそれを薦めます。学術書は高いですから、他の人も使うような資料なら、図書館で買うからリクエストを出せとも言ってます。それでも他大学の図書を利用したい場合は、すでに品切れですぐ買えないとか、その図書館しか持ってないとか、そういう資料なんです。

我々だって、常日頃疑問に思っている理不尽な法制度を説明するのはとても嫌なことです。「1500円くらいの料金がかかりますけど、いいですか?貸し出しもできません」「でもコピーはできますよね?」「それも著作権の関係でだめです。もし必要なら、必要箇所のページを確認して、本を戻してから再度複写依頼を出すことになりますけど・・・」

#ちなみに他大学への複写依頼もコピー代の他に、郵送料と手数料がかかります。

確かに書店でも十分買える新刊に対してそれをやられてしまうと、著作権者の正当な利益を侵害していると言えるかもしれません。「3ヶ月経ったものは」、くらいの制限をつけてもいいですから、せめて他館から貸し出しされた資料のコピーはOKにしましょうよ。

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