一部報道を否定という慣用句の使い方

去年おととしくらいのiTMS関連報道もそうでしたけど、日経のスクープっぽいニュースってなんか眉唾。でも最終的にはiTMSは去年日本上陸を果たしました。「○月上陸」とされた報道は間違いでしたが、最終的には正しかった。でもそれってどこまで許されるのでしょう。1月13日、日本経済新聞に以下の記事が掲載されました。

東証、株式売買の処理能力7割増強・6月メド1500万件

この記事読んだときは、へーそうなんだ~って思ったくらいだったのですが、

東証が新聞報道を否定、「今後の増強計画は一切決まっていない」


「報道にあるような計画はない。また、6月までに1500万件まで増やすのはスケジュール面でも無理」(経営企画室)という。


ここまで否定されたら、一体日経のその情報はどっから出たんだろーって思います。最終的に1500万件レベルに増強されたとしてもです。この報道ってOKなのかしら。私にとっては実害の無いニュースだけど、内容は今後の事業に関わることであり、社会・経済的には影響のあるものですよね(だからこそ報道の価値があると思うのです)。

それに


同日付けの一部新聞報道にあった「売買システムの処理能力を6月をめどに7割増強して、現在の900万件から1500万件に増やす」という趣旨の記事に対し


という箇所。私、日本経済新聞でしかこの記事見てないんですけど(テレビ東京で報道があったようですが、あそこは日経とニアリーイコールですもんね)。一部報道じゃなくて、日本経済新聞って書けばいいのに。しかも掲載してるのが「日経コンピュータ」。同じ日経でも、全く違う記者が違う編集方針で書いてる言われればそれまでなんですけど、同じ日経なんだから「一部報道」は無いんじゃないの?って感じです。プレスリリースがそうなってるから?そのまま書くのが報道なの?それなら、単に東証のプレスリリースにリンクすればいい(引用であることを明示して、引用元にリンクをはるのが本当では)。

東証が日経の報道を否定するのは、別に今回だけじゃないんですよね。東証のサイトで「報道について」で検索すると、大量に記事が出てきます。

東証:信用取引規制に関する一部報道について (2005/12/27)
当取引所代表取締役社長の人事に関する一部報道について(2005/12/18)
カネボウ(株)株式に関する本日の一部報道について(2005/5/10)
本日の一部報道について (2004/9/16)

まあ中には中期的に見れば正しかった報道もあるわけですが(カネボウ上場廃止とか。実際は5/12に整理ポストに割り当てられ、6/13に上場廃止することが東証から公表された。10日の記事は否定はしたが、2日後にはそれを肯定する行動を東証は取っています)。

私思うんですけど、「一部報道」ってやめたほうが良いと思うんです。この報道を否定するってリンクはるか、「何月何日の○○新聞」って書いたら良いと思うのです。国民はどの記事が否定されたのかを知る権利があると思いません?しかも今回の増強に関する話は、プレスリリースに「当該記事では」なんて文言があるのです。どの「当該」記事なのか、参考先を提示するべき。記事だって会社を名指ししてるのですから、記事を名指ししたってなんら悪いことはないはず。逆に、記事を否定するわけですから、相応の覚悟で否定してもらわないと(そのつもりがあるのに、そんな事実はないとは言えないでしょ)。「スクープ」→「現時点では否定」→「結局正しかった」という構図は、当たり前のようなものなのかもしれないのですが、そこに企業と報道の馴れ合いと、読者軽視の風潮のようなものを感じて、すごくイヤな感じです。

ちなみにGoogleで「一部報道 否定」と検索したら、1,010,000件もヒットしましたとさ。

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