2007年4月30日

紳士録よ、さらば

asahi.com:「日本紳士録」無期休刊へ 掲載辞退増で「使命終えた」 - 文化一般 - 文化・芸能

『日本紳士録』がとうとう休刊(と言っても事実上廃刊か)になってしまうそうです。『人事興信録』と共に、「日本の人名録」として役に立ってきたのですが、やっぱりプライバシーという考え方の浸透や、犯罪率の上昇によって、功罪の功よりも罪のほうが大きくなってしまったのかもしれません。今でも研究者の方とかは、ホームページのプロフィールに海外の「紳士録」である"International who's who"に掲載されたとか書いてる方がいますが、逆に財界関係者なんかは紳士録に載ってしまうと、わずらわしいことのほうが多いと思われてるのかも。

この2タイトルには、著作権の許諾を得たい場合や、一般の人名辞典には掲載されていないような人物を調べたいときにとてもお世話になっています。図書館でも人気のタイトルで、一時期古いものは別の場所にある倉庫に移していたのですが、取り寄せがあまりに多いためにわざわざ書架をあけて取り戻したというシロモノなのです。かなり古いものには、趣味や、娘がいるのか、息子がいるのかといった血縁関係なんかも書かれていて、営業はそれを元にお土産を考えたなんて話を聞いたことがあります。ダイヤモンドの『会社職員録』なんかも趣味とか書かれてますが、いずれも古いモノはかなり詳細なんですが、近年のものは空欄のものが多く、住所や趣味どころか生年月日や学歴も書かれていなくて、名前しか分からないようなものが多くなってる気がします。確かに趣味まで書かれたら気持ち悪いというのも分からないでもないのですが、これが本人が亡くなってかなりの年月が経ち、もう親類縁者がどこにいるかさえ分からない、なんてことになると、当時どこに住んでいたのかは非常に役に立つ情報だったりするわけです。だからちょっと残念だなぁ。

一方で、こういうアンケートだけで作っちゃえるようなお手軽な人名録だけじゃなくて、なんで日本にはちゃんとした伝記的人名事典が無いんだろうなあということもたまに思います。海外だと、大抵"National Biography"という故人の著名人(政界から芸術・学術界まで様々)を対象とした人物の、伝記を収録した事典類があるのですが、日本はそれが無いんです。日本人名事典みたいなものは結構あるのですが、あくまで簡単な記述の事典ばかり(しかも人名事典は何故か間違いも多い。複数の事典を見ると、生没年や名前の読みが違うなんてこともしばしば)。例えばイギリスの"Dictionary of National Biography"全60巻なんていう"National Biography"が無いのです。これを機にそういう事典を作ってみようとか無いのかなあ。作るのが非常に大変だから誰も手を出さないんでしょうけれど。"National Biography"どころか、調査編集して作らなくてはならない一般の人名事典も新しいものあまり出ないんですよね。人名録は比較的出版されてるのに。亡くなってしまえば個人情報云々は関係なくなるし、一方で現在の情報より故人の情報が欲しいときのほうが多いのです、図書館では。

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