2007年11月6日

面倒が便利を作り、さらに面倒を生んで、時間は無くなる

昔と言っても私が大学生の頃ですからそんな昔の話ではありません。その頃、まだ大学図書館にはカードボックスが広いフロアいっぱいに置かれていました。本を探すには、著者名か、書名か、あるいは数字でつけられた分類番号を元に探すしかなかったのです。雑誌記事も同様です。年刊ででる雑誌記事索引や、分類ごとに分かれた雑誌記事索引を、丹念に調べるというのが図書館でまずやらなければならない作業でした。今もどうしようもなくなって古い雑誌記事索引を見るときは、著者名書名の累積索引があれば良い方で、1年1年を順々に見なければならない索引もあります。「図書館員ならともかく、一般の人や研究者はよくこんな索引使ってたなー」と思います。

今雑誌記事索引と言えば、キーワードを駆使して検索するデータベースです。累積索引見て、さらにそこから書誌事項をたどって・・・なんて面倒な作業は必要ありません。何十年分を一度に検索です。下手するとその場で全文へのリンクまで提供されてたりします。全文が無くても、同じ画面で図書館のOPACを検索。「あ、あった」と思ったら書架に行って見ればよし。無ければWebcatやWorldcatを検索。「あ、あった」と思ったらオンラインで複写取り寄せを申し込めば、1〜2週間で窓口で受け取ることができます。例えそれが海外にしか無くても、お金さえ気にしなければ同じ手続きです。

過去の「文献にたどり着くまで」に掛かった時間を考えると、雲泥の差です。ものすごく便利になっているのです。しかしここまでいろいろ便利になってくると、逆に便利が当たり前になってしまって、別の点で面倒だと思うことも多いようなのです。「オンラインで申し込む前に、Webcatで検索しなくちゃダメですか?今急いでるので、どこかにあればそれを複写して貰いたいんです」みたいな利用者もいます。自分が欲しい論文や資料があったら、どこにあるかとか全く考えずに次々とオンラインで申し込み。図書館では学内にないか、協定図書館に無いかなどチェックしますが、この子全然チェックしてないなー、学内にあるよと思うものも少なくありません。でも彼らにとっては何十件も申し込みたいのに、いちいちOPACで検索するのが「面倒」だし、「そんな時間がない」のです。

この前ネコレという通販のサイトを知りました。通販と言っても、在庫を持っているわけではないのです。雑誌に掲載された洋服をこのネコレで注文すると、スタッフが日本中のショップに電話をかけて在庫を確認し、見つかれば実際に店舗に行って商品を購入、利用者に発送するという「買い物代行サイト」です。テレビで紹介してて「便利ですねー」とか言ってました。確かに便利です。これって「雑誌で見たものを買いたいけど、あちこち歩き回って探すのは面倒、そんな時間ないし」っていうところから来てると思うんです。

恐らく同じ考え方なのが宿題代行サービスなのではないでしょうか。一時期http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/natnews/topics/81307/とかhttp://www.j-cast.com/2007/09/03010905.htmlとかで話題になりましたが、これも「面倒だし、時間がないから、お金だしてでもやって貰おう」ということですよね。宿題の意味なんか関係ありません。

どの例もそうですが、なんか最近、学生も先生も「時間がない」って言うような気がするのです。誰も彼も忙しそう。最初の索引の例もそうですが、明らかに世の中は便利になってるし、求めるものを得られるまでの時間は短縮されてると思うのに、何故か時間だけは食われてる。情報が多すぎることもあるのかもしれないけれども、すごく不思議です。

忙しくて出来ない、面倒だからやって貰いたいと多くの人が思えば、それはビジネスチャンスでもあるし、ネコレや宿題代行というのは正にそこから生まれたビジネスだと思うのですが、買い物代行とか、宿題代行とか、ちょっと行きすぎな感が私にはあるんです(宿題代行はネットでもかなり批判されてましたけど)。頼めば誰かがやってくれるというのが当たり前になって、自分でやってみようという感覚がどんどん無くなっちゃってるんじゃないかなーとやや怖くなります。図書館でも学生が自分で調べられるようにと、HPにいろんなコンテンツ置いてるのですが、結局のところ「キーワードで申し込めば、それに関する資料を取りそろえておいて貰える」とか、「必要な文献リストを渡せば、全部揃えておいて貰える」とか、そういうほうが求められてるのかも・・・と淋しくなるときがあるのでした(ものすごい需要があったりして)。実際文献複写代行業者っていますしね。

そうか、みんな時間が無いから誰かに自分がやるべきことを頼んでるんだけど、その誰かはそのせいで時間が無いから自分のことを誰かに頼んでて、巡り巡ってみんなが他人の仕事をやってて忙しいってことなのかな?(笑)

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