警官の血 / 佐々木譲著

警官の血 上巻

警官の血 上巻

著者: 佐々木 譲
出版者: 新潮社
発売日: 2007-09-26



戦災で浅草を焼け出され、親類の元に身を寄せていた安城清二は、子どもが生まれるのを機に、その頃大募集していた警官に応募することになった。駐在巡査として天王寺の駐在に入った頃、近所の文化財で火事が起きた。騒ぎの最中に突然姿を消した清二は遺体となって発見された。清二の息子民雄もまた、警官を目指す。父の死が納得できずに調べる一方で、公安のスパイとして活動家の中で暮らすが、その後彼もまた駐在となり、凶弾に倒れる。3代目の和也もまた、警官となり・・・。

3代続けて警察官になった安城家の物語。父も祖父も不審な死を遂げるのですが、それまでのエピソードもかなり濃くて、全体としても長い小説です。ただ、戦後の何もない中で警察官として身を立てていく清二、公安のスパイとなって心身ともにぼろぼろになる民雄、警務として同僚の調査をする和也と、それぞれの話も面白くて、あまり長いとは感じませんでした。「今回は「このミス1位」を狙った」と『このミス2009』にも書かれていましたが、1位に相応しいエンターテイメント(ミステリーじゃないのか?)だと思います。佐々木譲の作品を読むのは結構久しぶりなのですが、『ベルリン飛行指令』とか『エトロフ発緊急電』の頃と良い意味で変わってない気がします。

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