蔦温泉と蔦七沼

今回、青森に行こうと思ったのは、蔦沼を見てみたかったからでした。JR東日本の真っ赤な山のポスターで知る人もいるかと思います。紅葉には早いけれども青い時期の沼巡りも面白いだろうと、蔦温泉旅館に泊まって見てきました。

蔦温泉旅館は、震災の影響もあって2年前に経営が事実上破綻し、今は青森の城ヶ倉観光という会社から支援を受けて経営しています。当時レストランなどを入れ替えたそうですが、今年の春には本館をリニューアルしたそう。外向きは酸ヶ湯のように東北の山の中にある古い温泉場ですが、中は綺麗です。一方で源泉の上に置かれた湯船とか、全体としての雰囲気は変わってなく、とっても趣のある旅館でした。「掛け流し」ならぬ「湧き流し」と書かれていましたが、湯船の底からぽこぽこお湯が出てるのです。その上にいると結構熱い(源泉は47度ぐらいあるそう)。蛇口はなくて不便ではあるのですが、それもまた秘境温泉ぽくていい。かつて今上陛下がお休みになったこともあるという楓の間は、今は休憩所になっていて誰でも入れます。そこには湧き水がサービスで置かれていました。お食事も美味しかったし、量もちょうどよかったです。朝のバイキングに蒸し桶を使った蒸し野菜が出たりして、「現代のサービス基準に合わせつつ(ここ重要)、鄙びた秘境温泉の雰囲気を残してる」(褒めてます)と思いました。





ポストは集配時間が書かれていないので、恐らく飾りです。

蔦七沼のうち6つは、この旅館の周りをめぐるようにあります。一周約3km、ゆっくり歩いても1時間ちょっとくらいです。遊歩道も整備されていて、「沼めぐり」の道標に従えば迷うことはありません。


まずは蔦沼。お天気の良い時は向こうに山が見えるそうですが、残念ながら雲に覆われていました。逆に靄がかかった人気のない静かな沼は、幻想的で綺麗でした。東山魁夷の絵みたいに、白い馬が現れそう。


ここから道は上へとたどり、蔦沼を下に見下ろしながら進みます。次に見える沼が鏡沼。


鏡沼は上にある月沼から水が注いでいるそうです。途中に小さな渓流も。


上から注いでいるということは、ここからも再び上りです。しかもつづら折り。月沼に到着。水の美しさが特徴だとか。確かに底に沈む木がはっきり見えます。


登りきったところから下に見えるのが長沼。沼のそばまで行くことができます。


峠を越えて下っていくと、菅沼との分岐があります。菅沼へは本線からかなり下ります。


ここに行った時、私が来る音に反応したのかサギ?が沼の向こうに渡って行きました。写真中央に白い細長い鳥が見えているのですがわかるでしょうか。他にも鳥が沢山いるそうですが、声が聞こえるだけで姿は見えませんでした。その代わりに小さい蛇とカエルを見ました(踏みそうになりました)。また、昨日の奥入瀬渓流もこの蔦の沼めぐりも栃の実の殻があちこちに落ちていたのですが、殻だけで実が無いのがちょっと気になります。最後の沼はひょうたん沼ですが、そこに「熊注意」の看板がありました。やっぱりいるんですね、熊。

「蔦七沼」と言われますが、7つ目の沼は、蔦温泉から道路をもう少し上がったところにある赤沼です。歩いて行くとちょっと遠いかも。

秋にも来てみたいなあ。ただ、秋は今の時期と違って人も多いのでしょうね。あとは冬かな。今でもかなり不便な場所にあるし、豪雪地帯なのでたどり着けるのかもわかりませんが、雪が積もるけれどもスキー場からは遠く、交通不便で静かな温泉という例年の「雪見温泉の旅」の条件にぴったりです。

なお、蔦温泉で聞いたところ自転車の場合は電気自動車の充電施設のある倉庫(もちろん屋根あり)で保管してもらえるそうです。自転車で来る方も実際にいるそうですし、今度こそ自転車で行きたいです。

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