[旅行]猿ヶ京散歩と紅葉の法師温泉

 



都民もGoToトラベルが使えるようになり、せっかくなので以前から行ってみたかったけど、案外高くてためらっていた法師温泉へ行ってきました。思い立ったときは正直遅すぎで、公式サイトやネット旅行会社あたりでは紅葉シーズンの土日は満室だったのですが、JRの地・温泉シリーズのツアーは鶴の湯と同じく年間で部屋をおさえているのか、今週だけでなく前後の土日も空いてました。もちろん、他のサイトに比べると高いんですが、まあ往復JRもついてるし。

みなかみは、照葉峡のほうへ自転車で行ったことがあるのですが、国道17号を新潟の方向へ行くのは初めて。我々以外に終点まで誰も乗らなかったバスが山を登るにつれ、山肌の紅葉が綺麗に見えました。

猿ヶ京は三国街道沿いに栄えた宿場町。今は相俣ダムのダム湖である赤谷湖のほとりに温泉街を形成しています。江戸時代にはここに関所があったのだそう。

少し高いところから眺めると、越後と上野の国を隔てる山が見えます。三国峠までここから10キロほど。その峠を越えて物資や人が行き来していたのでしょう。

猿ヶ京温泉は、ダム湖の底に沈んだ笹の湯温泉ともともとあった湯島温泉が一緒になって改称し、移転して猿ヶ京温泉になったのだそう。そのため猿ヶ京村は街道駅としての歴史は長いけれど、温泉自体にはそれほど歴史はなく、比較的近代的なホテルが多いのもそのせいだと思います。赤谷湖はカヤックやSAPなどの水遊びに向いているようです。朝早くついて散歩している我々以外に活動しているのは、湖で遊ぶ人たちだけでした。そして紅葉が見事。


最初は北側のオートキャンプ場のほうへ、その後旧三国街道をたどって永井宿のほうへお散歩。永井宿のほうは崖下に公園のような遊歩道ができています。

猿ヶ京という名前は、上杉謙信が泊まった時に自分の干支にちなんで付けたと言われてます。猿とは関係ないんだと思いましたが、なんとお昼を食べてたら猿が外のフェンスの上を我が物顔で散歩してました。

散々あるきまわったあと、まんてん星の湯という日帰り温泉施設でお昼と温泉。レストランも道の駅レベルではありますが、地物の上州豚を使ったとんかつなどの料理、土日だけ提供される手打ちそばなどがあります。あまりにお腹空いたのでとんかつ食べてしまいましたが、美味しかったですよ。


ここから町営バスに乗って、法師温泉へ。若山牧水ストーキングも何度目か、牧水の『みなかみ紀行』に出てくる一軒宿の法師温泉長寿館が本日の宿。例年の紅葉の時期と今年の状況を考えて、前週よりも今週のほうが良いだろうと思い11月7-8日の土日にしたのですが、正解でした。先週が天気がよく、今週は雨という予報だったときは少し後悔してたのですが、結局雨は降らずに晴れ間も出ましたし、宿の紅葉は最盛期だったと思います。


こちらがわは新しい法隆殿。平成築

本館の屋根は苔むしてそれも風情ある


反対側から。右が本館、左が法隆殿。本館の隣には法師川が流れる。

街道沿いに建てられた一軒宿は湯治場の雰囲気を色濃く残す風情のある建物です。古くから文人墨客に愛された本館と、昭和初期に建てられた別館は国の有形文化財に指定されています。ただ、有形文化財の指定基準は結構広くて、東京タワーもその一つですから、それを殊更強調しなくてもとは思います。


我々が泊まったのは平成初期に増築された法隆殿。角部屋で、部屋から三国山が正面に見えるので、「三国」という名前のお部屋でした。




広間とは別に、4.5畳の部屋に掘りごたつが切られた次の間があって、広く使えます。部屋食でした。部屋食久しぶり。出かけなくていいのとても楽。地場の材料にこだわっていて、メニューにも地元産には印が付けられてました。鍋に上州豚とおっきりこみがあったのが良かったな。最後のデザートがデラウェアと書いてあったのですが、なぜかりんごが出てきました(笑)。良いのが手に入らなかったのかしら。


総じて良かったのですが、一点だけ注意点。冬に向かって寒くなるこの時期、しかも山の中の木造宿。やつが出るんですよ。不快害虫のカメムシ。関東では本当によく見るクサギカメムシです。カメムシがどうしてもだめという方は秋はやめておいたほうがよいかも(とはいえ、法師温泉のベストシーズンも私は秋と思いますが)。カメムシは単に建物が古いとか隙間があるとかあんまり関係なさそうなんですよね。私の職場(築25年程度の鉄筋コンクリート造)もこの時期はカメムシに悩まされます。一体どこから入ってくるんでしょうね。ちなみに三国峠を越えて反対側にある貝掛温泉も真冬でしたがカメムシが部屋にいましたね。この辺多いのかも。

法師川沿いに建つ本館から増改築を繰り返した建物は結構複雑で、歩くだけでも面白いです。特に法師川を挟んで反対側に建てられた別館とをつなぐ渡り廊下が最高。


法隆殿と本館を結んでいるのも空中の渡り廊下



本館の待合所は中庭の景色が綺麗。

お風呂は3つあるのですが、最も歴史があり、法師温泉の写真としてよく使われる「法師の湯」は混浴です。20−22時のあいだだけ女性専用時間があるので、その時間だけ女湯として使われてる感じ。広いので、2時間しかない女性専用時間でも少し時間をずらせばかなりゆったり入れました。カルシウム、ナトリウム硫酸塩泉で、源泉温度が43度程度と低いので、いつまでも入っていられるのがとてもいいです。源泉かけ流しというだけでなく、お湯が足元から湧いて出ている数少ないタイプです。少し離れたところにある「長寿の湯」は日帰り時間帯は女性専用風呂として使われています。結構狭いです。一方宿泊客が主に女性用風呂として使えるのが「玉城の湯」というお風呂で、ここは内湯も広いし、唯一シャワー(法師の湯と長寿の湯はシャワーはありません。法師の湯は洗い場もなく湯船がメイン。長寿の湯はカランはなく、3つに区切られた桶に筒から湯が注がれてる洗い場のみ)と露天風呂がついています。紅葉を見ながらの露天風呂最高です。

散歩していて知ったのですが、この宿の中を三国峠へ繋がる山道が横切っています。宿の案内図を見ながら少し先の滝まで散歩したのですが、そこにこんな看板が。

看板に従って逢初の滝まで行ってきました。そのまま真っすぐ行けば三国峠へ通じているようです。しかも約4km。近い。


逢初の滝から帰ってくるとき、三国峠から降りてきた山人の気分をちょっとだけ味わえました。

この山道、調べてみたところ遊歩道的に歩けるようなので、がっちり山装備しなくても大丈夫そう。次来る時は、このルートを峠まで歩いてみたいと思いました。

このところ温泉は雪見ばかりだったのですが、やはり紅葉狩り温泉良いですね。紅葉の時期は混みますが、その価値ありです。

(追記) GoToトラベルのクーポンですが、JR東のツアーはオンラインで申し込むと「電子クーポン」しか選択できません。宿泊日の15:00からしか使えないのも意味不明ですが、田舎に行けばいくほど電子クーポンは使えません。 法師温泉、猿ヶ京のまんてん星の湯、関越バス、高崎の駅弁屋上州も紙クーポンのみ。そのため、猿ヶ京で電子対応していた数少ないお店の一桝屋さん(酒屋ですが、所謂田舎のコンビニ)と高崎駅新幹線コンコースの土産物屋とNEWDAYSで使い切りました。電子クーポンが嫌われる理由は何なのでしょうね...お店に置いてあるQRコードで支払い先を決めるだけで、特にムズカシイこともなく。なお15:00以降の時間縛り問題ですが、JR駅レンタカーの予約サイトには「時間の関係で借り出し時にクーポンが使えない方はご相談ください」と書かれてましたから、「相談」すれば使えるのかもしれません。

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