[旅行]聖獣バロンと魔女ランダが永遠に戦う島・バリ島


コロナ前から行こうと思っていたバリ島にようやく行ってきました。成田から直行便もありますが、シンガポール経由のほうが圧倒的に安かったのでそちらで。

最近人気という内陸のウブドに2泊、そして海の近い方にも行きたいから、スミニャックに3泊することに。いつも航空券と宿を取ると満足してしまって、直前までノープランなのですが、今回はウブドからスミニャックまで移動するのに合わせて1日だけJTBのプライベートガイドを頼んだので、いろいろ聞こうと思っていました。

e-VISAを申請してたので顔認証ゲートを通ろうとしたところ、深夜便で顔がむくみ過ぎていたのか、それとも化粧をしていない顔があまりにも違ったのか、旦那はすんなり通れたのに、私は顔認証のところではねられて、係の人に聞いてみると、長い入国待ち列に並べと言われる。並んでいると、別の制服さんが近づいてきて、日本人か、e-VISA持っているのか、と聞かれて顛末を話すと、別のデスクに連れて行かれて何やら端末でいろいろやって通してくれたのでした。何が問題だったんだろう...(何が問題だった?と聞いたのだけれど、ほほえみしか返ってきませんでした)まあとりあえず入国できたからよし。この旅の間、なんとなく今年の頭に行ったベトナムと比べてしまっていたのだけれど、全体的に人が優しいのは同じだけれども、制服さんの優しさはベトナムとは段違い。空港の人もそうだし、警察官も道を渡ろうとすると車を止めてくれたりするし。単純にバリ島が観光で成り立っている島だからというのもあるかもしれないけれど。

入国に時間はかかったけれど、ターンテーブルで待ってた旦那と合流したときにはまだ荷物が出て来ておらず、特にそんなに入国を急ぐ必要もなかったのでした。結局飛行機降りてから空港を出るまで1時間はかかったかな...ちなみに帰国時、羽田でターンテーブルにたどり着いたときには、すでに荷物が回ってました。

送迎の人と合流して、ウブドまで約2時間。それほど遠いわけではないのだけれど、とにかく渋滞がひどい。交差点交差点が必ず渋滞になっているので、信号機のシステムが悪いのか、それとも単純に車が多すぎるのか。渋滞だけは覚悟した方が良いです。特に夏の時期。


2日間はウブドを楽しもうとうろうろしました。ウブドの街で一番のエンターテイメントが、毎日どこかの王宮・寺院などで行われている舞踏です。レゴンダンス、バロンダンス、ケチャック(ケチャ/ファイアーとも)ダンスなどが日替わりで上演されています。我々も2日連続で行ってしまいました。1日目はウブド王宮のレゴンダンス・バロンダンス。2日目はタマン・カジャ寺院のケチャックダンス。このチケットの買い方が面白くて、寺院には管理人のようなものがいないらしく、地域の人たちとか、その演者団体とかがチケットを売るのです。寺院の前などにチケットを持って立っているおじさんやおばさんがいるので、そこからチケットを買います。これはあとでガイドさんに聞いたのだけれど、そうやって地域の人で富を分け合っているんだそうで、バリ流のやり方なんですね。いずれも10万ルピア/人で、パンフレットには英語でダンスの意味や行われる演劇の内容の説明が書かれています。暗くなる前に読んでおくのがおすすめ。


2日間ともめっちゃ混んでましたが、これは見ておいてよかった。というのも、バロン(善)・ランダ(悪)という二元論的な考え方、それにまつわる逸話を知ることができたからです。インドネシア自体はイスラム教が多いものの、バリだけはヒンドゥー教徒が9割を占め、しかもバリのヒンドゥー教は土着信仰などと結びついて独自進化を遂げ、インドのヒンドゥーとは全然違うものだと聞きました。善を象徴するバロンと悪を象徴するランダの終わりなき戦いは、まさにバリ・ヒンドゥーの宗教観を表したものだそう。

このあと、ガイドさんからもう一つ学んだのが、三位一体。共同体的な意味合いの村があり、それには必ず3つの寺院があって、それは三位一体に基づいているものだということ。3つの寺院とは祖先を祀る場所、集会所、死者を弔う場所の3つで、確かにあちこちに寺院があるのはそのせいなのかと思ったのでした。

宿の近くにモンキーフォレストという動物園のような名前の森があるのですが、ここは死者を弔う寺院があります。猿は神格化されていて、バロンダンスには必ず猿が出てくるし、ケチャックダンスでは猿が重要な役割を果たします。ここのお猿さんたちもとても大切にされています。大昔、どこだったか日本の猿園を訪れたとき、彼らは賢いから袋の音を立てるな、何が入っていても絶対に盗られるから、と言われて、実際私はスナックを袋ごと猿に取られたことがあるのですが、ここの猿は比較的のんびりでした。ただ、私がペットボトルを持っていて、小さいカバンに収まりきらずキャップのところだけが飛び出てたのですが、それを目ざとく見つけた猿が1度だけ寄ってきましたが...


賢い猿も英語は読めない模様

バリの死者は一度土葬されるため、その一時的な埋葬場所がこのフォレスト内にあります。そして先程の「村」単位などで合同で火葬をするのだそうです。大体5年に一度と言ってましたが、その火葬をするのは夏の時期なのだとか。この時期は天国の扉が開くから、とガイドさんが言っていましたが、日本の盆の時期と近いのもなにか共通する意味があるのかもしれないです。

死を意味する寺院だからか、あちこちでランダ像を見た

ウブドは何本もの川が流れ、その川が山肌を削って尾根と尾根の間に深いV字谷を形成する、という地形をしています。尾根間をまたぐ道路はほとんどなく、そのため少ない横の道路がものすごく混雑しているということに気づきました。そんな川の大元はバリ島の水瓶であるカルデラ湖のバトゥール湖。移動日にガイドさんに連れて行ってもらいました。見事なカルデラの中央にあるバトゥール山は3つの噴火口がきれいに見えます。これを見たとき、植生は違うけれども、要するに阿蘇地域みたいな感じなんだなと思ったのでした。

水が豊富なだけに多くの田んぼがあちこちで見られます。一方で地形が災いして何が起きるかというと、崖を利用した棚田。これも高千穂地域でたくさん見ました。テガララン棚田と呼ばれるこちらは、すっかり観光地化されて、大人気に。

もう少し静かに田んぼを見たいという人は、ウブドでMagical Rice Field in Ubudという看板を入っていくと見られる田んぼがおすすめ。鴨農法なのか、鴨もたくさん見られました。



この細い道の途中で川を渡るのですが、覗き込んだらなんとオオトカゲ見ちゃいましたよ。しかも2匹。あんなのが道端歩いてたらめっちゃ怖い。ちなみにこんな大きなトカゲじゃなくて、ヤモリは部屋にもいましたが神聖なものだし、害もないから部屋にいても殺さないで、と説明に書かれてました。そのフレーズ、沖縄でも聞いたと思いました。

写真中央下側。頭をビニル袋?に乗せてる

湧き水がある場所に寺院がある、それは水がとても大切だから、とガイドさん言われたのですが、もしかすると湧き水があるから村ができて寺ができるという逆の関係かもしれません。

タマン・アユン寺院には、五穀でできたバロンがいました。寺の門はどこも閉じられていて、聖域には人は入れないのですが、ここでは年に2度開いてお祭りをするのだそうです。映像があるのですが、その時にやはりバロンが踊ってました。最初ウブド王宮でみたときは、獅子舞と連獅子が合わさったような舞だなあと思ったのですが、どこかに繋がりがあったりするのでしょうか。タマン・アユン寺院は少し前まではかつての闘鶏場をレストラン代わりにしたり、結婚式をやったりみたいな商業的な使われ方をされることもあったみたいなのですが、世界遺産になってからはそうした使い方はご法度になり、静かな公園が広がります(タマンとは公園の意味だと教えてもらいました)。

タマン・アユン寺院は周りをお掘りが囲っている

塔などは奇数段で作られ、偶数にはしないのだそう。一番大きいので11段くらい?


ウルン・ダヌン・バトゥール寺院は入口の裏側に段があり、やはり11段の奇数

海へ出ると夕日が見られます。でもこの時期だとジャワ島とかが邪魔して水平線に沈む夕日は見られないのだとか。9月にもう一度来いってガイドさんに言われました。

最初の写真はタナロット寺院、こちらはペティテンゲットビーチ。近くにこの辺りでは数少ない寺院もある。

ウブドの宿はKajaNe Muaというところ、スミニャックはKunja Villaというところに泊まったのですが、どちらもよかったです。KajaNe Muaについたあと、舞踏を見に行くまでどうしようかなーと思って宿の説明見てたら、なんとリフレクソロジーが1時間で1500円ちょっとと激安で、2人でやってもらってしまいました。Kunja Villaはさすがに都会で、電気蚊取り線香(Vape)だったのですが、KajaNe Muaは蚊取り線香が置かれていました。夕方に蚊取り線香を補充に来た宿の人に「それってインドネシアではなんて呼ぶの?」と聞いてみたら、「バイゴン」と返ってきました。ネット検索したところ一般名詞ではなく、おそらく製品名ですね。ホッチキスみたいな。ちなみに彼らが点けてくれる前に、うちの旦那が喜々として蚊取り線香に火をつけてました。

スミニャックのヴィラは、価格はアヤナとかに比べたら激安なのに、2人で滞在するにはもったいないくらい広いヴィラで、フリーだった日にプールでぼけーっと浮かぶのが最高でした。周りの木にリスがいたり、朝はメグロヒヨドリの囀り(と言うには大音量)に起こされ、夜はシロアゴヨタカの声で夕涼みをするという都会の中にあって自然感あふれる滞在ができました。

Kunja Villaはレストラン施設がないのですが、すぐ近くにレストランがたくさんあるので特に困りません。ちなみに部屋にあったルームサービスのメニューは近隣のお店のメニューで、テイクアウトしてきてくれるみたいです(笑)。我々はガイドさんに聞いたすぐ隣のMase Kitchenへ初日に行ったらとっても気に入ったので、3日連続で行ってしまいました。最終日(さすがにこの日は顔を覚えられて、あれ前にも来たよねと言われた)、たまたま「これからダンサーが来る」と言われ、今回の旅の中心であったように思うレゴンダンスを披露してもらった上、さらに教えてもらいながら一緒に踊りました。

面白いなと思ったのは、ウブドもスミニャックも宿のベッドに天蓋があったこと。天蓋というより、おそらく蚊帳だと思います。

わかりにくいけど、手前のカーテンみたいなのが蚊帳

こっちははっきり蚊帳。

また、さすがインドネシアと思ったのは、コーヒー。全体的にお茶よりもコーヒーで、コーヒー屋も何軒もあったのですが、ウブドのUbud Coffee Rosteryはシングルオリジンをハンドプアで淹れてくれました。かつ旦那が頼んだアチェがとても美味しかったので豆も買ってしまいました。結構浅煎り系。アイスコーヒーにするならこちらがおすすめと言われたものは、サードウェーブ的な独特の味がしました。ウブドからキンタマー二高原まで行く途中、標高1000mくらいにやはりコーヒーベルトがあって、コーヒー農園もたくさんあるようです。

コーヒー店でシングルオリジンを頼むとアイスでなければコーヒーサーバーごと出される感じ(つまり量多め)

ラテ系頼むと100%アートつき。一番お気に入りはこれ(キンタマーニ高原の昼食場所で)

おそらくスミニャックだけに滞在してたら、全然印象違っただろうなぁと思った滞在でした。ウブドに最初に行ってよかったです。今度行くとしたら、今回ルートからは離れすぎてて行けなかったブサキ寺院を含めてアグン山のほうに行ってみたいかな。



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